テクノロジー

2014年5月 1日 (木)

原発の安全対策はコスト度外視か

国会審議では、国民負担の増大に関してはかなり慎重かつ想像力を働かして指摘を行っておりますが、それらの指摘が実際に起こっている点には自分の非力さを感じてしまいます。
今回も、原発の安全対策への費用に関し、昨年の国会で指摘した件が露わになってきました。
96958a90889de6e0e5e5e2e5e2e2e3ebe2e (総延長1・5キロメートルに達する防波壁の建設 出所:日経新聞)
指摘内容の概要は以下です。
◯ 原発の安全対策コストは原価として、電力料金に乗せられる

◯ しかし、そのコスト査定は厳格に行われる体制にはなっていない

◯ そのコストは関連企業に支払われ、モラルハザードに陥る可能性が高い
その結果、以下のような現状がやはり出てきました。
しかも自分の住む中部電力管轄内で。
どうにかしなければ。

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2013年2月20日 (水)

技術は「人災」を凌駕できるか?  小型原発の可能性

党のエネルギー戦略をどうにかしようと、大学助教時代にお世話になった方に話を聞いています。

で、今日は国内外の研究機関のトップを歴任されてきた大先輩に久々に再会してきました。

意外だったのは、「原発の将来性」にまだ望みというか切迫感を持っていたことです。

ただ「原発」も旧式から新型までひとくくりにするのでなく、特に世界で導入が進む「小型原発」に対しては確かにメリットも拡大しているとのことです。(FT記事参照

例えば、

● メンテナンスの必要性減少
● 使用可能燃料の拡大(劣化ウラン等も)
● バックエンド(処理)の手間やコスト減少
● 冷却用に水を用いない空冷式も可能

という点です。

また、肝心の安全性についても、非常に不安定な船上に搭載される程度に高いという実績も確かにあります。

(Financial Times)

しかし今回の事故でも明らかになったように、「どれだけ技術が向上しても扱う人間や組織による『人災』は防ぎようがないのでは」との思いを自分は持っており、それをぶつけてみました。

すると、

「いや、技術の向上が人災すら防ぐようになり得るんだ」

とのお言葉でした。

これは決して技術への過信でなく、「人災」が起こり得る事を前提に、その状態すら凌駕する設計を追及するという覚悟です。

利権や利害を超え、科学者としての立場で純粋に国や人類の発展を考える、そんな志に久々に触れさせて頂きました。

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2012年2月23日 (木)

植物工場が拓く食料問題解決への道

何度か掲載して頂いている、高校の同窓会HPにて「植物工場」について解説させて頂きました。

小池がこれまでは研究者として、そして今では政治家として取り組む、食料問題への解決の一途として紹介させて頂きます。

Pekoike091130v2_2

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龍城のWA! 第45回-3  小池政就さん(高45・日本大学講師)

  

植物工場って何?

 今回は農業、しかも工場生産という新しい体系についてご質問を頂きましたので、簡単に説明させて頂きますね。

 「なぜ小池が?」という声もあるとは思いますが、実はこの分野、農業だけでなく商業や工業も連携する農商工連携の一環として注目され、小池が研究者時代にいち早く政策提言した分野でもあるんです。(詳細は日本経済研究センターの「若手研究者による政策提言」を参照ください。)

 最初は京都や千葉、福岡等で展開されていましたが、今では全国に広がり、すぐ近くの清水町卸団地でも(!)昨年から野菜を作る工場が稼働しています。

 それでどのように野菜を作るかというと、室内で最適な生育環境をつくりだすんです。
気温や湿度にはじまり、野菜に与える肥料や照らす光の量と質、二酸化炭素濃度を全て人工的にコントロールします。例えば日光の代わりに蛍光灯やLEDを用い、土も使わずに水耕栽培で養分を送ります。

 そのため場所を選ぶ必要がなく、何と東京の丸の内のビル内でも生産されていたりします。
 その他のメリットとして、栽培日数がとにかく短く、年間20毛作近くが可能で連作障害の心配もありません。また常に一定の質で安定して生産でき、収穫された野菜はそのまま食べられるほど安全です。更に通常の農業のような重労働では全くなく、楽な姿勢で収穫や梱包に人手が必要となる程度です。

 私も何度も食べていますが、歯ごたえも良く、味でも露地物にもひけをとらないですね。それに光の質を変えることによって、栄養分まで通常より高めることも可能になります。例えば赤色の光だと葉が大きくなり、青色の光だとポリフェノールやビタミン等を増やす事もできます。

 ・・・と、良い事づくめのように聞こえますが、課題も当然あります。

 まず最大の課題、生産コストですね。
設備にかかる初期投資に加えて、操業にも電気料金等がかさみます。
結果として生産される野菜が少し割高になりますが、一方で捨てる部分も少なく、洗浄もいらないため加工時のコストは低減できます。また政府は半分ほどの補助金を設定しており、他にも通常の露地栽培と同様の税制にする等の環境整備が進めば普及も進むのではないでしょうか。

 また、需要がしっかり確保できるかという点も課題です。
得てして技術が良ければ、商品が良ければ成功すると思われがちですが、実はこの需要が安定的に確保できるかが大事で、この点で多くの参入者が頓挫してしまうようです。
 そこでスーパー等の小売で安全面を重視する消費者に訴えるだけでなく、飲食店と連携して使ってもらう取り組みも進められています。私の知り合いはラーメン店とも一緒に商品開発を進めたりもしています。

 といった課題もありますが、何より企業にとっては事業計画が立てられる、という点が魅力であり、生産も全てデータ化していつでもどこでも同質の野菜が作られるというのは大きな強みですね。

 最後に、エネルギーを専門とする自分が提言し続けているのが、国内だけでなく国外での展開です。

特に食料問題が今後深刻化する世界で、現地の再生可能エネルギーを使った発電設備との組み合わせはとてつもない可能性を秘めています。

 今は中国や中東諸国が食料生産のための農地を世界で買い漁っていますが、「新たな植民地主義だ」として問題になっています。また生産のための水の供給も大きな問題です。

 そこで、場所を選ばず、「水も施設内で循環してほとんどムダにすることのない植物工場」が、日本よりも発電できる太陽光や風力を組み合わせればまさに地産地消で、今まで食料の輸送のために使われたエネルギーも節約することができます。
 私もドバイやサウジで調査した際、スーパーで売られている野菜の多くが輸入品で価格もそれなりにしたのが印象に残っています。特にドバイのモールは日本より余程高かったですね。

 また植物工場は日本では「野菜工場」として野菜生産が中心ですが、より強い光量や人工の土壌を使えば穀物の生産も可能です。

 国内の高齢化する農業へ企業参入を促す、設備やノウハウによって世界の市場を拡大し経済を活性化する、そして未来の食料・エネルギー問題解決の一途になる、いっぱいの夢が詰まっています。

 お近くのスーパーで見かけましたら、ぜひその夢も一緒に召し上がってください!

■編集者より■
わかりやすい説明に感謝です。長いですが(笑)、興味のある方や詳しく知りたい方には 本文中にもあるPDFの論文 を読んで欲しいですね!

 イメージとしては9ページの表10がとてもわかりやすいと思います。

この図を見て、「植物工場のコンテナ化をして被災塩害地域や福島で安全な野菜や穀物が収穫できれば新たなブランドが生まれる!?」と閃いたんですけど・・・
「それはもはや夢ではないかも?」ということですよね?
小池さんの論文は2009年のものだから、現在はもっと発展しているのでしょう?

■小池■
ありがとうございます。
被災地での取り組み、既に進んでますよ!

外食チェーンや地元の農家の方をはじめ、計画は着々と増えていますね。

先月には実際に着工も始まった案件もあります。

特区内で法人税や固定資産税の優遇が受けられたり、ファンドとして広くお金を集める仕組みを活用しながら、復興に向けて進められてますね。同じ被災地で今後期待される大規模太陽光発電との相性もばっちりです。

 東北産野菜にあった風評被害を吹き飛ばす新たなブランドとして、また国外に展開できるシステムの構築例として、今後も目が離せないですよ。

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2006年2月10日 (金)

植物が地球温暖化に加担?

自然科学系としてもう一発、もうちょい専門に近いエネルギー・環境系で驚きの論文が発表された。

Methane emissions from terrestrial plants under aerobic conditions Keppler F, Hamilton JTG, Brass M, Rockmann T NATURE 439 (7073): 187-191 JAN 12 2006

060210nature (出所:www.nature.com)

内容は「植物から地球温暖化に加担するメタンが大量に発生している」ということであり、つまりこれまで温暖化対策として進められていた植林をすればするほどメタン発生量が増えてしまうという事に結びつく。

論文によると、地球上の陸上植物から放出されるメタンの総量は年間60百万トンから236百万トンであり、二酸化炭素に換算すると、1260百万トンから5000百万トン相当となる。ちなみに日本の2002年度の温室効果ガスの総排出量は二酸化炭素換算で1331百万トンで、植物による影響がいかに大きいか分かる。

もしこれが本当だとすると、京都議定書で決められた「植林した分は二酸化炭素削減量から減らすことができる」という施策は根本的に見直す必要が出てくる。そうしたら日本を含む各国は今のままだと到底削減量の達成には結びつかないだろう。

論文に関する議論は当然まだ続くと思われるが、政府も無視はできずに林野庁等が直ちにつくば市の独立行政法人森林総合研究所に追試を求めたとの事。その中間データによるとスギとカシの葉からのメタン放出を確認したらしい。ただしその量がこれまでの通説をはるかに超えるものなのか、興味が高まるところである。どっちみちの結論としては、まず確実に分かっている温暖化ガスの排出源を減らす事がより強化され、「省エネ」や「自然エネ」といったものにより重点が置かれるのだろう。

感想としては、科学の力を改めて思い知らされた。これは自然科学でも社会科学でも同じなのだろうが、自分達が生きる世界では明らかになっていないことが無数とあり、それらについての必ずしも普遍的でない科学的解釈によって人々の行動や選択が決定されている。そしてその解釈の探求は実は社会やパラダイム全体を変える大きな力を秘めているのだな、と。逆に言えば、その曖昧なところに自分達の価値観を押し込み正当性を得ることができれば強大な力に結びつく、という戦略も持ち得る。国際関係でいう「ソフトパワー」という概念も同様である。この点において、科学も発達し伝統的な文化や価値観を持つ日本は大いに武器を持っていると思うのだが。

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2006年2月 9日 (木)

自然科学の世界

ようやく初年度の講義も終わったのだが、今度は学生としての課題に追われながら過ごしている。

060209_br_grass (出所:桐蔭横浜大学 生命・環境システム工学科)

院での授業はかなり多岐にわたり、課題では「福祉工学」や「オーラル・ヒストリー」といった分野での考察を書いた。かたや科学技術で生体障害を補うものであり、後者は技術も合わせていかに公人の記憶を記録に残すかという試みである。特に前者は驚きの連続であって、例えば視覚障害を補うために眼球に組み込まれたカメラからの情報を直接脳に電流で流すという、まさにターミネーターの世界が現実になりつつある。

そしてこれらを含めた技術の扱いと普及に関しての基本的な考え方として、国際関係や倫理、危機管理や安全といったテーマとの関わりに関しても新しい考察ができた。技術とは社会の価値観や様態をガラっと変えることの力を持っているが、技術そのものは意思をもたず、扱う人間によってその使途や開発が左右されることを改めて学んだ。

という事で、少しずつだが自然科学に足を踏み入れつつある(もしかすると中学以来)。

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