2006年4月27日 (木)

CSISシンポジウム

月曜は朝のエネルギーゼミのあと、午後から久々に外部のシンポジウムへ。

ワシントンDCのCSISというシンクタンクと日経の共同開催だった。ソフトパワーで有名なJoseph Nyeや我らが先輩Michael Greenといった日米同盟の立役者が揃っていた。

060427_csis (写真: 第2回 日経・CSIS共催シンポジウム)

感想は・・久々に英語が聞けて嬉しかったのが一つ。しかも1000人ぐらい入ってそうな広い会場がぎっしりで「立ち見かな」と思って所、なぜか偉そうな人が前に案内されていくので付いていったら一緒に二列目の「関係者席」に座らせてもらった。偶然その前に知り合いが座ってたんで声掛けたら「なんつー格好だ」と指摘され、確かに周りは紺のスーツを来た中年の方ばかりで、迷彩服にオレンジのリュックというスタイルはかなり浮いていたよう。

内容は「日米中の今後」がメインテーマで、「日米は良いけどもう少し具体的な戦略を検討しようよ。あと日中の関係が悪いのは米も心配している。日本は靖国にこだわってないで包括的なビジョンを持つ必要があるね。」といったのが大まかなところ。東アジア共同体については「各国のギラついた思惑も考慮するとアメリカの関与が必要だと思うが、日本が頑張ってくれればそれを支援したい。でも頼りないが。」といったニュアンスだった。全体的にそんなに突っ込んだ議論はなかったが、振り返ってみるとやはりGreenは日本の状況や意見を良く理解してるなと感じた。

久々の国際関係の議論は慣れた分野だけに分かりやすい。でも実はもっと面白かったのはその夜にNHKで放映されたサイボーグ技術に関するドキュメント。立花隆氏が映画監督の押井守氏やロボット工学者の川人光男氏、河合隼雄氏との対談を行いながらサイボーグ技術の進歩と人間の変化を説明していたのだが、実に衝撃的だった。前期の授業で少し聞いた、視覚を失った人にメガネに装着したビデオカメラの映像を直接脳に送る、といった装置も実際の使用状況を見てしまった。また更に驚くのは、脳の働きだけでロボットを動かしたりネットワークを経由して遠隔操作が出来たりもしてしまう点だった。

そして最後に行き着くのは軍事化への懸念であり、実際にDARPAが開発しているというリモート・ラット(ネズミの脳を乗っ取りカメラ等を装着する事で好きな所へ操作できる)や兵士のモビル・スーツ化はまた戦争の形態を大きく変えるな、と感じた。行き過ぎじゃないか、とも思ってしまうが彼らにしてみれば「自分達がやらなければ必ず誰かが同じ事を開発する。その方が脅威だ。」という信念というか脅迫感から取り組んでいるようだった。常に戦いは続いてるんだな、と現実を垣間見ることができた。

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2005年12月 3日 (土)

技術と危機管理

今日は朝一で政策空間の原稿を書き終えて、午後からまた授業。

今回は技術と危機管理について。パネリストは豪華な以下の三人。

野口和彦氏 (()三菱総合研究所参与)

野村 保氏 (日本原子力研究開発機構 執行役 安全統括部長)

佐々淳行氏 (元内閣安全保障室長)

毎回あえて一人は専門外の人を含めて、様々な観点からのディスカッションを行う方式。それでもたまにその一人が全く無知で一般論に終始してしまう例もあったりするのだが、今日はだれが専門家なのか分からない状態。

さすが危機管理のスペシャリスト、佐々さんだった。長時間のスピーチも原稿なしで大変興味深かったし、ディスカッションでも実体験に沿った教訓は説得力があった。実はアメリカ留学時代、9.11のテロの前夜に食事をご一緒させて頂いていたのが佐々さんだった。その少し前にはキッシンジャーの講演会で握手させてもらったり、急速に世界が広がったと感じた頃だった。ただの学生でも超一流の人たちと話せる機会が転がっていて、貧乏だけど本当に感動的な毎日だった。

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講義(ディベートon集団的自衛権)

安保の授業では、今回は2年生が主体となったディベートを開催。

テーマは「日本の集団的自衛権の行使の是非」について。

テーマとしては結構議論はし尽くされているので、生徒達がどこら辺をポイントにしてくるのかを興味深く聞いていた。日本がアメリカに「巻き込まれる」か「見捨てられるか」といういつものジレンマで分かれるかなと思ってたが、ややずれていた。国会議員でさえ良くあることで、「集団的自衛権」と「集団安保体制」の概念がやや混乱していたようであった。結果は否定側の勝利。

皆ディベートは初めてだったようで、自分達で調べて議論するという経験によって、知識の足りなさなどを確認してくれただけでも効果はあったと思う。

天気も良いこともあり、翌日の朝は久々に伊豆で波乗りに向かう。

今回は新しく貰ったボードの初乗りで、厚さや幅もあり今までのものとは段違いに乗りやすかった。おかげで、レギュラーだけだが横に乗るのも慣れてきた。浜の端っこではサーフィンとボディボードの検定試験も行っており、モチベーション維持にも次回は是非トライしてみたい。

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2005年7月 1日 (金)

授業(軍事力)

さて、気を取り直して安保の授業。

今日は軍事技術・軍事革命について。肝心のインテリジェンスは時間が足りず持ち越し。。

まずは軍事力の概念から。軍事力とは、クラウセヴィッツが言うような「戦争=敵の強制・自らの意志の遂行のための暴力行為」の手段としてだけでなく、防御力としても現在の国際情勢では結局不可欠なものである。それはつまり、これまで説明してきた冷戦後の国際関係や国連の機能上の課題にもつながる。古くは高坂正尭氏も言うように、国際社会は国益を追い求める国家間の争いであり超国家組織や警察・裁判所などのシステムが未整備のうちは自らの安全は自らで保障するしかない。

更に軍事力の機能も、強制、防御だけでなく抑止や外交・安保上の交渉ツールといったように広がっている。当然構成要素も幅広い。そしてこれらの変遷を説明するためにも、軍事革命(RMAの初期からの経緯を説明。大事なのはRMAとは技術だけの革新でなくて、政治と社会、軍事組織や戦略・戦術といった組織的な変化を含むということ。特に最近はアルビン・トフラーも予言したように、情報システムの役割が高まっている。

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(アルビン・トフラー 未来学者って肩書きがうさんくさいが。 写真:NHK情報ネットワーク

特に、湾岸戦争(第一次、二次)の際の話は映画を超えた内容を含んでいる。イラク軍と米軍間でのスコープ(暗視装置)の性能の決定的な違いや、GPSを使った精密誘導団の話。また、フセインへの第一撃までの経緯、は以前観たエネミー・オブ・アメリカ007の衛星からの攻撃を思い出す。イラクに潜入していた特殊部隊が「フセインがあるレストランにいる」との情報を得て、リアルタイムで本部に連絡する。その情報が飛行中の戦闘機に伝わり、爆撃する。これが分単位で行われている。フセイン本人はこの時生き延びたのだが、この一発が最大の衝撃を与えその後の圧勝に導いている。多くの英字雑誌の表紙を飾った砂漠のストームによる影響も、予想に反して戦争の長期化に繋がることはなかった。

一方でここまで拡大した軍事力の格差がいったいどこまで続くのか、どこまで拡大するのか、といった各国リーダーの心配はいかほどかと思う。そこを補うのが、広義的な軍事力なのであろうが。

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(写真:FareedZakaria.com)

前期もあと2回。楽しんでいきます。

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2005年6月30日 (木)

インテリジェンス

今日も今日とて講義の準備。

いよいよもう7月ということで、講義もあと3、4回(正確に把握していない)。

次回の安保の授業は「軍事技術・軍事革命・インテリジェンス」について説明する予定で準備。とりあえず日本語でいうところの「情報」と「インテリジェンス」(分析・評価したもの)の言葉の違いなど、基礎から読み進める。

インテリジェンスのプロが言うには、現在は必要とする情報の95~100%は公刊情報で入手できるが、重要なのはこの過多な情報の処理能力ということ。冷戦時代のKGBも競うようにモスクワに情報を送ったが、そのほとんどが処理されずに捨てられたらしい。

確かに最近の情報アクセスの向上はすごい。ネットさえ繋がればかなりの個人情報も取れるのでは。つい昨日も、10年以上ぶりに地元の友達から急にメールが届き「おぉ?」とたまげてしまう。しかもこのブログも見てくれたとのこと。一応匿名なのに良く分かったなーと関心してしまう。「勉強しなくちゃ」って言ってくれる人もいたり「内容はちんぷんかんぷん」って言われたりもするが、確かに興味の無い人には全く面白くないなとは十分理解。元々自分のノート代わりで使っており、読んでくれてた人がいたとは、嬉しいようで申し訳なくもある。。でも普通の個人的日記や内輪ネタだと単なる自己満足だしな、、とも思うし。

ともかくかなり元気づけられた!

(一方で、情報アクセスの話にもどると、「悪いこと出来んな」という不安も。。)

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2005年6月26日 (日)

イラクでの民間警備会社

先日、イラクで拘束された斎藤さんが勤めていた事からも、戦争における民間警備会社の役割が注目されるようになった。

留学時代からお世話になっているPBS(日本だとNHKのようなものか)やCNNのサイトなどで確認していたのだが、想像以上に危険な状況下で働いている。軍隊ほどまともな装備も訓練もブリーフィングも得てないながらも、時にはより危険な警備の前面に立たなければいけない。

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(写真:http://arabic.cnn.com/

そのインセンティブはやはり「高収入」だという。家族の心配もありながら、「2ヶ月ぐらいイラクに行ってgood moneyを得てくる」と行って出かけて帰らぬ人になった例もある。中には元アメリカ兵としてイラクに来て、民間へと移った人達も多くいるという。収入でいうと、例えばErinysというイギリスの民間警備会社は、米陸軍のエンジニアの警備で年間約5000万ドルもの収入を得ているとのこと。イラクで働くErinys社員の給料も当然高い。ある社員は一日約400ドルぐらいの収入をもらっており、兵士のほぼ二倍に当たるという。中には一日1000ドル稼ぐ人もいる。このような高収入を求めて、米英だけでなく、東南アジアや南アジアからも多く出稼ぎに来ているようである。

彼らの活躍が増える一方で問題も多い。軍隊も民間に外注化しすぎて統率ができず、その統率や全体のブリーフィングをまた外注化してしまうケースもある。また民間社員の犠牲も多い。イラクに潜む敵にとってみれば、アメリカ兵だか民間会社だかの区別も付かず、同様に襲撃されている。しかも民間会社は全てが自社の犠牲者数を発表しているわけではないので、全体像はぼかされている。それで、また引き続き社員の募集を続けている。

イラクの内情は想像以上に悪い。今や「現地でアメリカ兵が襲撃され死亡した」というニュースは毎日なので、余り取り上げられることも無くなってしまっているが。特にファルージャの空港までの道路は現地では「死の道」と呼ばれているように、ここ数ヶ月でもわずか10マイル程の区間で約150回の襲撃が行われているという。その襲撃の中に民間社員も含まれている。ソマリアの時ほど世論に影響は無かったようだが、イラクにおいては民間社員が襲撃され、焼かれ、引きずられ、吊り上げられている。そしてその報復としてアメリカ軍が中心となり、イラク反抗部隊のアジトを思われる場所を総攻撃している。

somalia (ソマリアで引かれる米兵 写真:Paul Watson/AP)

highriskp (イラク・ファルージャで吊り上げられる民間会社の犠牲者           写真:www.pbs.org)

イラクから撤退したがっているアメリカ軍が実際に撤退し始めれば、更にこれら民間警備会社の役割も犠牲も増えてくると思われる。軍隊の行動や犠牲であれば世論は政府に訴えることができるが、民間の場合、あくまでビジネスに伴う自己責任ということで世間の注目も浴びず政府からも利用され続けるのだろうか。

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2005年6月20日 (月)

授業(国連改革)

安保の授業は引き続き国連について。

今回は冷戦後はじまった国連改革を経て、ようやく現在の動きについて講義。アナンが事務総長になってからの流れや、去年からのめまぐるしい各国の動きついて説明。

その中で、「日本の常任理事国入りについて」の賛否を生徒に聞いたら、大多数が賛成。メディアの論調も最近は反対を唱える声はほとんど聞かれないし、世論としてもまとまってきたのか。10年ほど前は今の小泉首相だって反対を唱えていたことから比べると、だいぶ国際貢献ということについて理解が深まってきたのか麻痺してきたのか、どっちかだろうか。外務省も広報に頑張ってるし。

一応国連は集団安保体制を基本としているのだから、武力行使に全くノータッチという形での責任負担という明確な線引きは難しいと思うのだが。自分も日本の安保理入りにはもちろん賛成だが、賛成派の大多数が結構ここら辺を楽観的に考えている点には懸念している。前回のイラク戦のドタバタの時に、「日本が非常任理事国としても安保理に入ってなくて本当に良かった」と言った人もいたが、確かにあのような場面でどう動いたか(動けたか)考えてみるだけでも結構心配してしまう。

ちなみに、先週の授業の段階ではアメリカが「新常任理事国は日本ともう一国のみ」と言い出して、G4と連携する日本にとってはまたもや難しくなってしまった。一方で、アメリカの議会は「国連が改革できなかったら分担金の一部は払わない」とか言ってるし、いまいち主張が良く分からない。また各国もそれぞれが好き嫌いあって複雑に絡んでいるし、今後結局まとまる気配もなくなってきた。

また今のままだと、拒否権の拡大もほぼ絶望的に見える。G4の唱える15年後の見直しというのも、ほぼ辞退しているに等しい。拡大が無理ならば、せめて準常任理事国(拒否権なし)を含めた理事国に(一定票の獲得によって)拒否権をくつがえす権利を与えるぐらいしないと、結局安保理自体の機能向上にも繋がらない。

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2005年6月11日 (土)

Enemy of the State (エネミー オブ アメリカ)

今日掲題のタイトルの映画を観た。

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(Photo: Yahoo! Movies)

アメリカ政府による盗聴や監視が描かれた話で前から気になっていたが、思った通り面白かったし考えさせられた。

まず、全体のシーンがワシントンDCの見覚えのある場所をあちこち映し出していて本当に懐かしい。特に物語の最初で、主人公の大学(ジョージタウン)の同級生が自転車で爆走するコネチカット通りは、まさに自分も数年前に自転車で走っていたあたりだけに一気に引き込まれた。

その後は、政府の盗聴や監視機関としてNSA(国家安全保障局)が舞台となり、これも今後の研究のいいきっかけを与えてくれたと思う。NSA自体はメリーランドにあり、私も何回かあの真っ黒い建物の近くを通ったことがある。建物の内部はもちろん、その活動や予算や人員などについてもほとんど公開されておらず、一層怪しさを増している。最近ではこの映画のように国内だけに留まらず、海外においても「エシュロン」というネットワークを使ってあらゆる通信を盗聴しているようである。

1998年に作られたこの映画は、その後の技術革新や9.11による国家の厳戒態勢の中でかなり現実に近づいていると言える。実際にテロ対策の一貫としての「パトリオット法」では捜査当局による盗聴活動をかなり拡大しており、技術面だけでなく法的にも映画を超えている可能性さえある。

更に現実がもっと恐いのは、NSAのような活動が政府全体が認める形で行われるかもしれないということである。、映画ではNSAが他の機関(例えばFBIなど)に活動が漏れたり制限されたりするのを恐れて独自に行動していたが、例えば今般の脅威である「テロ」としてまさに「国家の敵」として怪しまれた場合、警察であろうがFBIであろうがNSAと一体となってターゲットを追い詰め、闇に葬られてしまうのではとさえ思ってしまう。

個人的にはこのようにメッセージを持った映画やドキュメンタリーがとても気に入っている。ただ一点引っかかるのは、今回のようにNSAを舞台にしたり、それをかなり批判的に映し出している場合、何ら障害は無いのだろうかという事である。それも華氏911などの例を考えると取り越し苦労だろうか。ハリウッドとワシントンは一方では繋がっているようにも見えるし、一方では独立しているようにも見える。後者の理念がしっかり残っているのもアメリカの強さかも知れない。

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2005年6月10日 (金)

授業(国連改革)

安保の授業は今日も国連について。

冷戦後の役割変化からガリ、アナンの改革推進の内容を説明。ガリの出した改革案は理想的に見えるがソマリアやコソボ等での失敗が響き、再選時にはアメリカに反対されてしまった。その後アナンはイラクの件も乗り越えなんとか頑張っているが、いざ改革案を採択するかという最近になって主要国の反対が目立ち始めている。中国がうるさいのは予想通りとしても、アメリカもドイツを名指しで批判してきた。おそらく国連、各地の大使館はロビィング合戦だと思うが、頑張って欲しいと思う一方で手段と目的を見失わないで欲しいとも願う。

ちなみに今日からは出席自由にしてから一発目の授業。「(生徒は)激減するでしょう」という同僚の声に反して、ほとんど人数は変わらなかった。その中でも「これは残るだろう」と思った生徒がいなかったり「これは来ないな」と思ってた生後が頑張ってたりと、面白い。ただ授業が終わってから、「出席取らないんすか?」とがっかりしていった生徒もいたのでまだまだこれからだ。

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2005年6月 4日 (土)

授業(集団安保体制)

さて、昨日の二発目の授業です。

まずは先日行って来たサコダ氏の講演模様を説明。当たり前ですがサコダって誰も知らないようで、アーミテージって名前を出しても全く反応無し。一応アメリカの中国への懸念や6カ国会議の意義なんかを話したんですが、皆固まってました。やはり日米安保の基礎を教えとかないと難しいか、と感じた次第です。

授業はようやく、「集団安保体制」の説明について。ようは国連のように加盟国で協力して違反国に制裁を加えるというもの。まずはそこら辺の概念と説明して、国際連盟から入りました。今回改めて調べて見ましたが、国際連盟の欠陥はアメリカが参入できなかった事だけでなくて、軍事的制裁力がほとんど無かった事や、その後も理事国のほとんどが脱退しまった事もあり、その辺の経緯は従来のリアリストvs国際協調主義の葛藤が見えて結構面白い。

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(国連前のオブジェ。出典:Earth Island Institute)

その後、国連の基本的なところを説明しながら前回出した幾つかの検討課題について皆で議論。「国連は無意味か」というものすごい漠然とした質問については、予想通り意見が割れて為になったと思います。要は機能・目的をどこに注目するかで見方も変わってくるという事。しかし国連システムとしてはものすごい広い分野を大きな機関でカバーしているのには改めてびっくりです。

一方、「巨大な官僚機構か」という点についても、実は予算的にはNY市の1/4だったりと意外な小ささにも驚きです。「官僚かどうか」、という点については職員の処遇なんかに興味があったようです。ちなみにとりあえずネットで調べると「給与への課税の有無」についてはやや情報が錯乱しているようで、(おそらく)信頼できる国連サイトでは「課金」という形で天引きされているようです。同じく国際機関の世銀で働いている友達の話からは、もう少し待遇が良かったよな、と感じたんですがまた機会あればもう少し細かく調べます。

なお、授業については今後出欠は一切とらない事を断言。自分の経験からも、勉強する意味も分からず意欲も無しという状態では絶対に何も残らないし、お互い時間の無駄になってしまうからということで。但し出席するからには緊張感を持ってもらって、こっちも気合いれて教えていこうと思います。同僚の講師からは「生徒が激減するんじゃない?」と言われましたが、工夫次第でまた増えるでしょう、と楽観視してます。

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2005年6月 1日 (水)

ロビン・サコダ氏の講演(前国務副長官補佐)

さて、気を取り直して、今日出た会議の内容をアップします。

-日米安保同盟 東アジアにおける挑戦と展望-

講師: ロビン・H・サコダ (アーミテージ・インターナショナル パートナー)

司会: 渡辺恒雄 (読売社長ではない。三井物産戦略研究所 主任研究員)

まず冒頭に、サコダ氏が東アジアにおける将来の不安定要素を幾つか列挙し、また最近における東アジアの動きに対しての見解を述べました。

DVC00001  

彼の挙げた将来(2015-2020年)の東アジアの不安定要素としては、

     途上国がグローバル化の動きにキャッチアップできるか

     グローバル経済が成長し続けるか

     中国の台頭がどうなるか

     エネルギーの需給

     地域全体における高齢化

     地方と中央の格差および政治的安定

     アメリカが超大国でいられるか

というところです。

中でも重点は中国の台頭であり、地域全体に対するポジティブな見通しもあれば、ネガティブな見通しとして地域の不安定要因になったり北京がコントロールできなくなるような結果も考えられるとの事です。そして中国をengageするためには日本だけでも米国だけでも単独では難しく、協力の必要性を説いていました。

更に東アジア共同体についても完走を述べており、最近来日したアーミテージ氏と同様に米国を隔離するような動きには賛成できないという懸念を示していました。この点はQ&Aで詳しく話していたので後述します。

さて、冒頭のプレゼンはあっさり終わってしまったのですが、Q&Aは意外に盛り上がりました。出席者もベテランの専門家が多かったせいもあります。

[在韓米軍の縮小]

まず韓国におけるアメリカ軍の縮小の是非についての質問があり、内容はかなり細かかったのですが、要は駐日米軍にも関係する部署を無くしてしまったために、機能的には疑問が残るとの話でした。ここら辺はトランスフォーメーションとか在韓・在日米軍についての資料を読み込む必要があります。

[東アジア共同体]

次に東アジア共同体におけるアメリカの態度ですが、冒頭で氏が述べたように「アメリカは東アジアにdeep interestがある」と強調しておりました。ただ、アーミテージ氏もそうだったのですが、この理由が曖昧で「排除される」という懸念は言うもののどういう状態を「排除」というのか不明ですし、「ASEAN+3と同じでアジェンダがないじゃないか」と言ってもこれから長期的なビジョンを作っていく集まりという趣旨が強いために批判は余り意味がありません。この辺の曖昧さを、例えば「NAFTAは排他的じゃないか」と突っ込まれると「NAFTAは目的がはっきりしている」という違いを出して、結局は「プロセスが透明でオープンであれば問題ない」という見解を示していました。印象に残ったのは、東アジアにおけるアメリカのdeep interestは確かに強いな、という点とそのdeep interestを現地人とは言え他人および完全には信頼できない中国に任せてしまうことの危うさをかなり懸念してるのだな、という感じがしたことです。今後年末のサミットが近づくにつれて、アメリカ側の意見がどう具体化していくか、注目する必要があります。ちなみに関連で、日本-アメリカのFTAについては、やはり議論として「日本の農業が開放できるのか」という点がアメリカで湧き上がる可能性が大きく、現状は難しいとの見通しでした。

[新アーミテージレポート]

サコダ氏は2000年に発表されたナイ・アーミテージレポートに関わってましたが、最近その第二段に取り組んでいるとのことで少し話しがありました。これまで政権で、まさにレポートの内容に取り組んできたわけで、今回政権を離れたことで一段落してレポートに取り組んでいくようです。現在のところ打合せを一回行っただけですが、年末にかけて発表するとの事でここら辺で今日話したような2020年の将来図なんかも入ってくるかと思います。そういえば岡田代表の外交ビジョンも2015年当たりの将来を想定しているらしいのですが、そこら辺の記述がほとんど無く「ちゃんと分析しているのか」という意見があったのを思い出しました。

[在沖縄米軍の縮小]

この問題はアーミテージ氏もサコダ氏も同様に普天間からの移転を早急にする必要を主張しています。ただ、当初の予定だった辺野古への移転は現状難しく、アメリカ側だけでなく日本側の対処の遅れからSACOの取り決めが止まってしまっています。そこで沖縄側の不満も考慮してサコダ氏は今回も沖縄に出かけたようで、今日出席していた沖縄の国会議員の話にも真剣に聞き入ってました。ただ、その議員が「なぜ沖縄じゃなくてはいけないのか」と質問した際に、アーミテージ氏は同様の質問に「location, location, location」とつまり立地の重要性を説いていたのに対して、サコダ氏は「日本政府に聞く質問ではないのか。我々は受け入れてくれる所ならどこでもwelcomeだよ」といった回答でした。これも本音なのでしょうが、沖縄が海兵隊の訓練地として最適であるとの声も多く聞いたことがあり、改めて沖縄の地理的優位性を再考しなければと感じました。

[北朝鮮の核問題]

まず最近の核実験の可能性に関してはやはりやや楽観的です。理由としても、北朝鮮が核爆弾を1つ以上持っているかどうか、また実験の場合も国連が動きやすくなることから北朝鮮にメリットが少ない点を挙げているのはアーミテージ氏同様です。ただ興味深かったのは「アメリカ-北朝鮮との二国間協議の是非」と「中国の怠慢さに関して」の議論であって、前者は1994年にあったように日本と韓国を差し置いて交渉し、カネだけ出させるようなプロセスは日韓が望んでいないのではないかという見方です。確かに、今回6カ国協議を望んでいるのはアメリカよりは日韓の意向が強いでしょう。また影響力のあるはずの中国が動いていないという議論は確かによくありますが、まず「本当に中国の影響力があるのか」ということを再考しなければいけないし、中国だけを責めるのではなく例えば日本も拉致の問題で核疑惑の議論を拡散させてはいないか、という考えはなるほどと思いました。今後の見通しとしてはやや曖昧で、皆で協力していくといった感じでしょうか。

[中国の軍事力拡大]

最後に、不安定要素の大きな要因の一つである中国の軍事力拡大を具体的にどう見るか、という点ですが防衛関係の人が中国軍のエリア的拡大を話していましたが、集中力も途切れていたせいか、この点回答も良く理解できませんでした。しかしながら!アメリカが中国の軍事力の拡大をどう想定しているかというのはかなり重要な話で、また議会調査局のレポートなんかで調べたいと思います。ちなみ中国の今後の見通しとしては三つ。自分の道を進んでいくのか、協調的になるのか、もしくは破綻してしまうのか。もちろんベストは二番目でワーストは三番目です。これらシナリオをどう良いほうに持っていくか、いつもながらの大きな課題です。

以上、本当に良い刺激になりました。合掌。

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安保面での劣化を痛感!

今日は東京アメリカンセンターで来日中のロビン・サコダ氏の講演会に出席してきました。

内容については別記しますが、ちょっと気づいた点を忘れないようにメモっときます。

まず英語については、サコダ氏がゆっくり話していたせいもあり何とか理解できました。また内容についても質問・回答ともに普通に聞いて理解できるほどでした。特に情報として目新しいことも無かったように思えます。

しかしながら、今日は最近の日米安保における自分の知識の浅さと分析力の低下を痛感してしましました。DCにいた頃は、スピーカーの主張はある程度前もって調査して、その内容について2歩突っ込んだ議論を目標にしていました。ところが、今日はサコダ氏の主張に対して何とか1歩ぐらい深い疑問しか出てこず、参加者たちの1.5歩深い質問と回答を聞くだけで精一杯でした。。

思えば安保問題に関して、ベーシックな所は授業の準備もあって蓄積しつつあるものの最近の動きや各論への分析が全くというほどおろそかになっていました。しかも情報源は日経や日本の雑誌・TVぐらいで、かなり浅い議論で終わってたように思います。また、かなーり素朴な質疑応答に終始する国会や党内の会議を聞いてて「大丈夫かいな」と思いながら、実は自分が劣化してたことにようやく気づきました。

心を入れ替え、常に目標は高く、そしてハングリーにコツコツ頑張ります。イチローも、「小事の積み重ねの大事さ」っての常に言ってますし。

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2005年5月28日 (土)

授業(同盟)

昨日は「同盟」についての続き、「なぜNATOや日米同盟が冷戦後も存続しているか」という点について講義してきました。

その前に、先週末の「対テロ会議」の報告を。説明の中で皆に「テロ戦に参加するか、反対するか」という聞き方をしたら後者が圧倒的でした。やはり、脅威が高まるのに懸念をもっているようです。そこでこちらから「何がテロ戦なのか、テロとは一体何なのか」といった基本的な所が曖昧になっていることを指摘。反応はどうだったんだろうか。現状こちらからは、生徒がノートに書いているかどうか、ぐらいしかほとんど判断基準が無いのが辛いっす。ただ徐々に発言が出てきたことは嬉しいことでした。

その後NATO、日米同盟の存在意義について講義。たとえソ連などの共通の脅威が無くなっていても、実は同盟そのものがシステム化していることを説明。つまり同盟がお互いもしくは地域の安保を維持する制度として定着しているので、無くなった場合の不安定要素を考慮しなければならない。更に相互拘束という点で、お互いを共通のルールで縛ることによってリスクの増大を防ぐという観点も説明。NATOについては米国だけでなく、統一ドイツや(将来的には)ロシアもこのような目的での取り扱いになるでしょう。一方日米同盟については前者的意味合いが強く、東アジア地域の安保にスポっとシステムとして取り込まれている面を説明しました。

最後に、課題として集団安全保障体制としての国連について、いくつかの「素朴な疑問」(以下)を考えてくるよう投げてきました。さて、どの程度の議論が返ってくるか、楽しみです。

[Yes/Noおよびその理由を]

1.         国連は無意味か

2.         米国と国連の関係は今までになく悪い

3.         ブッシュ政権の先制攻撃論は国連では認められていない

4.         国連平和維持活動は失敗である

5.         安全保障理事会は拡大すべき

6.         国連は米国の主権に対する脅威である

7.         国連は巨大な官僚機構である

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2005年5月22日 (日)

政策空間勉強会(テロ対策)

アメリカでの友人、片桐範之くん(写真中央)との政策空間の勉強会に行ってきました。

DVC00020彼は現在ペンシルベニア大学政治学部の博士候補で、バリバリ安保を勉強しています。彼が今日で紹介してくれたように、ワシントンに居たころはお互い貧困を極めておりプライベートでは余り良い記憶はなかった。。たまーに外食とかしても、割り勘になると「どっちが多く食べたか」で揉めるというような事も、まぁいい思い出です。

冒頭片桐君から「テロリズムと日本の安全保障政策」について、政策空間での記事を基に発表。発表中もちょくちょく質問が出て、それに答える形で進めていくとあっという間に1時間半ぐらいたってしまった。そこでようやく僕の出番。ディスカッタントとしては既にある程度Q&Aが終わった後では大変やりにくいのだが、ポイントを絞るようにして彼の主張を構造的に分析しながらいくつかの点を提起しました。

まず、全体の流れとして「テロの概念(定義、原因、効果、対処)」→「日本の対テロ政策」となっているところを、それぞれ前後半およびその導き方について補足しました。概念から結局、「テロへの対処が難しい→日本は自国の脅威でもない対テロ戦に加わらず国内防衛に注力すべき」との論調なので、①難しいが現実的な対処の仕方はいくつかある、②「対テロ戦」とはこの場合何を指すのか、③海外派遣の際の行動基準として日本はテロだけでない「二重のリスク構造のなかでコストandベネフィットを計算しなければならないし、これだけ相互依存が高まった中で日本の理念でもある国際協力という選択肢を無視できない」といった所を説明しました。

大体思っていたポイントは述べたのだけど、かなり時間もなかったので二点だけ大事な表現を抜かしてしまったのは残念でした。

一点目は、彼の主張の結論の中での「テロ」が狭義の「対米および対欧米に対してのテロ」という前提になっていること。それでは、日本にとってのテロは何かという突っ込んだ議論がやや抜けてしまっている。もう一点は、対テロ戦に加わる=自分への脅威が高まるという主張について、「対テロ戦」という定義は軍事的なものだけを指すのか、非軍事的なものは問題ないのか、といった点も議論の余地があるなという点です。例えば以前ペルーでMRTAというテロ集団によって大使公邸占拠という事件があったが、そのメンバーのインタビューの中で彼らの動機はペルーの当時のフジモリ政権と日本との結びつきを挙げていた。つまり非軍事面であろうと「巻き込まれる恐怖」は残ってしまう。

今回はバタバタなスケジュールの中で、ディスカッタントとして片桐くんの主張をベースにしながら自分も色々考えてみた。とても良い機会だったので、今度じっくりと自分なりの主張を組み上げていこうと思います。僕の安保の考えの基礎であり出だしは防衛庁への論文ですが、読み直すとまだまだ甘いなという所が出てきたこともありますし状況も変わっていることから引き続き精進していきます。休日の雨の中、参加頂いた30人余りの方々に大変感謝します。

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2005年5月14日 (土)

授業(同盟)

今日はもう一発、安保の授業も。内容は「同盟」について。

とりあえず概念の説明だったが実際の例も出しながら説明。しかしこういう観点から日米安保を見ると実に分かりやすい。小国のジレンマとか、そのまま政治やマスコミの議論で見られるし。

ただ学生の皆にはややイメージ掴みにくいかも。実ここら辺は戦略論として広く日常にも使えそうなんで、そんな感じで身近にしていこうと思ってます。実際孫子の「兵法」とかは良くビジネスに応用されている。例えば会社での人間関係に置き換えるとか。自分だけでは対抗できない部長に、副部長や課長なんかとどんな同盟組んで対抗するとか。

だがそれさえも学生には掴みにくいか。普通の学生は教師-学生の力関係ぐらいしか身の回りになさそうだし。そう考えると大学生の時は縦の人間関係って薄い。体育会とかならまだ何とかあるが、サークルとかはぼんやりしてる。まずは社会がどうかってのを見せるのが先みたいです。

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