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2011年7月

2011年7月17日 (日)

原発に関するセミナー開催!

暑い中、地道に活動を続けております。

以前宣伝させて頂きました、

東京大学原子力専攻の長崎晋也教授をお迎えしての集会を開催いたしました。

週末の炎天下の日中ということもあり、参加人数は40人前後とやや小ぶりではありましたが非常に中身の濃い時間でした。

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長崎教授には、予めこちらから集めた質問をお渡しし、放射線の基礎知識を含めてご説明いただきました。以下が講演メモとなります。


1. 放射線物質について

  • 単位の違い – ベクレル(放射線を出す能力)、グレイ(到達する量)、シーベルト(健康への影響)
  •  DNAを傷つけた際、若いほど修復力があるが修復時に細胞に影響がある可能性が高い
  •  しきい値 - 確定的影響にはあるが、確率的影響にはないとみなすのが妥当。100msv以上で自然発生率高くなる一方で、それ以下は線形で確率下がるとみなす。不妊等の影響に対しては明確な基準が判明している。

 2. 福島第一原発について

  • 1979年までの古い発電所はGEの設計であり、それ以降は国産標準化が進んだ
  •  福島第一ではディーゼル発電機用の重油タンクが海側に設置されており津波で流された
  •  1号機はGE製の古い機種で非常用復水器が設置されており、災害時に海に熱を捨てることができずに高温水を設備内で循環することになり、水素が漏れ出して建屋が爆発した。
  • シビアアクシデント(過酷事故)対応に関する措置は2000年から考慮するようになり、古い原発にも対応するよう求められたものの法的根拠は無かった。 

3. 放射線物質の影響について

  •   原発の作業員の限度が年間20msv程度
  • 子供はヨウ素で成長ホルモンをつくるために、甲状腺でヨウ素を取り込み影響が大きくなる
  •  ICRPの基準は信頼できる研究者によるものであり、2007年の新設基準は現在検討中
  •  セシウムは早めの除去が望ましく、腸から吸収する前には薬品等で排出を促すこともできるが吸収されてしまうと難しい 

4. 放射性廃棄物の処理について

  •  高レベル廃棄物は深い所に埋める(地層処理は物理的にも適当)
  • 低レベルは基準が決められたものの廃棄場所がまだ未定
  •  立地は文献調査、地上探査を経て選定(610km2で確認)
  • 2020年までの廃棄物は地下2~3km2の施設に処分し、最低7万年はかかる
  •  建設費から100年の経費は2兆円はかかる(実際にはもっと) 
  • 日本での地層処分はまだ実績なし
  • 国内では廃棄物は再処理という前提(これまではイギリス、フランスへ委託)

質疑応答では真正面からご自身の思いを伝えて頂き、参加者の多くが感動しました。 

原発の公表コストの問題や、科学者達が傲慢であったこと、一方で廃棄物の処理は今後も続いていく課題であり自分達が責任を持って取り組まなければならない、と伝えてくれました。 

また、このような講演で必ず出てくる、二元論で原発の是非を問うような質問に対しては、「科学者や研究者の役割は選択のオプションを提示することであり、決定するのは政治や市民である」とのもっともな回答を頂きました。 

私 自身もこれまで研究者という立場でオプションを模索しながら、これからは有権者の皆さまとその選択を行っていく立場として身が引き締まりました。思えばこ れまで、選択できない政治家、一つのオプションしか提示しない官僚、断片的で主観的な報道、正確な情報が届いていない有権者たちによる意思決定に違和感を 感じ、しばらくアカデミックで鍛練していました。今後は自ら科学者や官僚の皆さんとオプションを模索し、有権者に伝え、共に意思決定を行っていくという役割を担ってまいります。 

今回の事故で神話が崩壊した安全性を再確認および最優先し、その上で経済性や自給力、環境適合性やエネルギー収支等、総合的に日本の国益に沿ったエネルギー戦略を推進していきます。 

長崎教授にはお忙しい中、炎天下の猛暑かつ原発問題に熱い静岡の地に快くお越し頂きましたことに、心より感謝しております。


P.S. 長崎先生とは講演前後の雑談の中でも興味深い話をさせていただきました。東海村の小型原発施設は空冷であること、安全保障の為にも日本は今後も原発技術は保持するべきであること、等非常に多くの示唆を頂きました。

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