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2006年2月10日 (金)

植物が地球温暖化に加担?

自然科学系としてもう一発、もうちょい専門に近いエネルギー・環境系で驚きの論文が発表された。

Methane emissions from terrestrial plants under aerobic conditions Keppler F, Hamilton JTG, Brass M, Rockmann T NATURE 439 (7073): 187-191 JAN 12 2006

060210nature (出所:www.nature.com)

内容は「植物から地球温暖化に加担するメタンが大量に発生している」ということであり、つまりこれまで温暖化対策として進められていた植林をすればするほどメタン発生量が増えてしまうという事に結びつく。

論文によると、地球上の陸上植物から放出されるメタンの総量は年間60百万トンから236百万トンであり、二酸化炭素に換算すると、1260百万トンから5000百万トン相当となる。ちなみに日本の2002年度の温室効果ガスの総排出量は二酸化炭素換算で1331百万トンで、植物による影響がいかに大きいか分かる。

もしこれが本当だとすると、京都議定書で決められた「植林した分は二酸化炭素削減量から減らすことができる」という施策は根本的に見直す必要が出てくる。そうしたら日本を含む各国は今のままだと到底削減量の達成には結びつかないだろう。

論文に関する議論は当然まだ続くと思われるが、政府も無視はできずに林野庁等が直ちにつくば市の独立行政法人森林総合研究所に追試を求めたとの事。その中間データによるとスギとカシの葉からのメタン放出を確認したらしい。ただしその量がこれまでの通説をはるかに超えるものなのか、興味が高まるところである。どっちみちの結論としては、まず確実に分かっている温暖化ガスの排出源を減らす事がより強化され、「省エネ」や「自然エネ」といったものにより重点が置かれるのだろう。

感想としては、科学の力を改めて思い知らされた。これは自然科学でも社会科学でも同じなのだろうが、自分達が生きる世界では明らかになっていないことが無数とあり、それらについての必ずしも普遍的でない科学的解釈によって人々の行動や選択が決定されている。そしてその解釈の探求は実は社会やパラダイム全体を変える大きな力を秘めているのだな、と。逆に言えば、その曖昧なところに自分達の価値観を押し込み正当性を得ることができれば強大な力に結びつく、という戦略も持ち得る。国際関係でいう「ソフトパワー」という概念も同様である。この点において、科学も発達し伝統的な文化や価値観を持つ日本は大いに武器を持っていると思うのだが。

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コメント

小池さん、なんかすごいことやっていますね。
こういうことやっているんですか。

投稿: こ | 2006年2月10日 (金) 16時30分

こ(?)さん

ダイレクトにこの分野ではないんですが、今はエネルギー系で取り組んでますので一応関連してます。
興味あれば是非コメント等お願いします!

投稿: 政 | 2006年2月14日 (火) 15時04分

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