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2005年12月

2005年12月16日 (金)

講義(日米経済、台湾有事)

今日は早くも今年最後の講義。

相変わらず準備疲れでフラフラしながら学校に到着。昨晩はお世話になっている事務所の忘年会に出席し、その後資料を読み込んで何とか間に合った。ちなみに忘年会では一生懸命食べながらも、「実力」、「実質」、「実績」の重要さという大変貴重な言葉を頂いて帰った。

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経済の講義では、まず先週の日米NPO制度についての復習から。生徒に「どうしたら日本に根付くか」、「どんな分野で働きたいか」という点について書いてもらっていた。そこではやはりPRの重要さ、ボランティア精神の普及といった事を挙げてくれていて、分野については子供たちへの教育やスポーツ交流といった方面への興味が多かった。

実は偶然にも昨晩お会いした方が世界の子供交流のNPOパンゲアを運営されており、講義の中でも紹介させてもらった。コンピューター上の絵文字で世界の子供たちを繋げるという、何とも夢のある試みである。特に印象に残ったのは彼がこの事業を始めようと思ったきっかけであり、特に非営利分野ではそのような強烈なモチベーションが大事なのだなと感じた。これまでも色々調べてきたシンクタンク分野についてもきっかけの重要さはよく言われており、アメリカであれだけ活発化したのもやはりベトナム戦争というきっかけがあったからであった。

その後、日米経済について現状と、過去にさかのぼって貿易摩擦とその協議について説明。こうしてみると「ガイアツ」というのは確かに国内の不満の声は大きかったが、結果としてはプラス面も多かったのではと再認識してしまう。昔どこかのアメリカ人が「アメリカの圧力によって日本が市場を開放した中でマイナスの結果は無かっただろう」と言ってたのも思い出した。

授業の最後に今日は感想や質問などを書いてもらった。これまで説明してきた政策決定や財政問題に興味を持ってくれたようなのが嬉しかったし、Merry Christmasといった可愛い挨拶も嬉しかった。(一応仏教徒なのだけど。)

安保の授業では、「台湾有事のシミュレーション」を皆でやってみた。これは下調べに結構気合いを入れたんで自分でも楽しみだった。各国に分かれたグループに選択肢を提示して考えてもらいながら、シナリオがどう進むかということを説明し、それでは各自どのような課題があるかという事を浮き上がらせた。その中では、台湾グループが「独立宣言を撤回していいですか!」と言い出したりと、意外な判断が出てきて面白かった。次の機会があれば各国の軍備等の使用も細かく判断させて、よりリアルにやってみようと思う。講師の同僚からは「またきな臭いことやってますね」と怪しまれてしまったが。

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とにかく、これまで本当に勉強させてもらった。

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2005年12月12日 (月)

講演「日本の民主主義は本物か」

日曜は昼から所属しているYoung Lionsの定期会で、愛知和男衆議院議員を囲んでの議論に司会として参加。

YL

テーマは「日本の民主主義は本物か」ということで、議員の20年超の国会経験を交えて主に政と官の関係についてお話を頂いた。愛知議員には充電期間中にワシントンでもお会いし、その時も同様のテーマでお話頂いたのだが、今回国会に復活して改めてその思いを強くしたようだった。

憲法第86条にもあるように、予算そして立法に関しても内閣が作成して提出し、国会は現状否決はできるが修正できないという状態との事。この点、議会が予算・法律を作成して大統領が拒否権を持つアメリカとは正反対である。そこで、立法府の強化が求められるのだが、議員からは「役所で法案作成に携わっている人間を立法府の所属にすべきである」との提言があった。ここでは当然役所側からの抵抗も予想され、切り口として当面は両者の人事異動は認めるという案である。

その後議員のお話をもとにして、アメリカの立法府の働き等も交えて皆で議論。この点では、ワシントン時代からの師匠でもある渡部恒雄さんの補足が大変有意義だった。渡部さんからは制度的な違いの前に、やはり根本的に憲法上での取り決めが問題であると指摘。つまり愛知議員の指摘する、「内閣が作成し、提出する」という点である。また内閣の権限が強い理由としては法制局が大きな力を持っており、この機能を司法(憲法裁判所等)に委ねるべきではとの案も出た。更に、モメンタムとしては渡部さんが常に言われるように、日本にはまだ制度が大きく変えるだけの大きなきっかけが足りないという点もある。アメリカが1970年代のベトナム戦争による防衛費の大幅増加を契機にして財政規律強化に動き出しCBOGAO等の機能が定まってきたように、何かしらの大きな契機が必要でもある。

更に議論は尽きることなく、ポリティカル・アポインティ(政治任用)やシンクタンクの役割、情報の共有という点にも広がっていった。特に情報については、立法側にそのアクセスが少なすぎる点がいつも課題だと思っていたのだが、「情報の守秘義務」が重要であり(外交では特に)、その為に役所から出てくるものも客観性が無いものになってしまうという見方は納得だった。これらの点は、実は帰国する前にはずっと自分の中の一つのテーマにしてきたものでもあり、久々にブラッシュアップの良い機会を与えられたと思う。

最後に、議員からは「政官攻防史」という本を薦められたので是非読んでみたい。

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2005年12月 3日 (土)

技術と危機管理

今日は朝一で政策空間の原稿を書き終えて、午後からまた授業。

今回は技術と危機管理について。パネリストは豪華な以下の三人。

野口和彦氏 (()三菱総合研究所参与)

野村 保氏 (日本原子力研究開発機構 執行役 安全統括部長)

佐々淳行氏 (元内閣安全保障室長)

毎回あえて一人は専門外の人を含めて、様々な観点からのディスカッションを行う方式。それでもたまにその一人が全く無知で一般論に終始してしまう例もあったりするのだが、今日はだれが専門家なのか分からない状態。

さすが危機管理のスペシャリスト、佐々さんだった。長時間のスピーチも原稿なしで大変興味深かったし、ディスカッションでも実体験に沿った教訓は説得力があった。実はアメリカ留学時代、9.11のテロの前夜に食事をご一緒させて頂いていたのが佐々さんだった。その少し前にはキッシンジャーの講演会で握手させてもらったり、急速に世界が広がったと感じた頃だった。ただの学生でも超一流の人たちと話せる機会が転がっていて、貧乏だけど本当に感動的な毎日だった。

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出版「FTAが創る日本とアジアの未来」

今月出版された本がアマゾンに掲載された。

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これまでの研究や多くの関係者とのインタビューを基に、変遷する通商世界と日本の戦略についてまとめたものである。以前一緒に働いていた参議院議員と共著で出させて頂いた。

まだまだ内容に改善の余地あるも、とにかく出版された事が嬉しい。春、夏と引き篭もっていた労が少し報われた気がする。そうでなくても少し波乗りが上手くなっただけだと思うが。同時に出版社や関係者の方々には本当に感謝している。後はこれが評価されて、次にも繋がることを期待したい。

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講義(ブッシュの財政政策、ディベートon靖国)

院での発表も終わってやや落ち着き、昨日は大学での講義。

今回も二本立てで、テーマは「ブッシュ政権の財政政策」と「靖国神社に関してのディベート」。

まず、ブッシュ政権の財政方針については、これまでの講義の内容からは意外と思われるような施策を説明。つまり、財政赤字に対して増税でなく更なる減税で対処するという方針が採られている。それでも結局財政は悪化しているのだが、政府・議会の認識としては悪化要因の大半は「景気低迷」であり、「減税策が採られなかったらもっと財政が悪化していた」という論調。

その効果もようやくあってか、最近では年率4.8%の成長を達成しているのは驚きである。しかしながら、今後も続くテロとの闘いやハリケーンの影響、そして提案されている社会保障制度変更時の政府負担の増加などから懸念も残っている。それらを踏まえて、生徒に今後のアメリカ経済について予想してもらった。どんな見方がされているのか楽しみである。

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安保の授業では、今回は3,4年生対象で「首相の靖国参拝の是非」に関するディベートを開催。

双方の立論では、否定側が良く挙げられている近隣諸国との関係と日本へのデメリットを理由に挙げているのに対し、肯定側は参拝が戦争防止に役立つというやや新鮮な主張を展開した。

その流れから、議論の中でも中国・韓国の反響とデモ等を中心としてやり取りが行われ、結局は「それら反響は靖国問題だけでない」と論駁できた肯定側が勝利した。本来は「日本の歴史観」や「東京裁判史観」という、他国がどう言うかでなく自らがどう考えるかという点にも言及してもらいたかった。

見ていて面白かったのは、勝敗を決めたのは双方の立論の内容や説得性でなく、それを上手く崩したかどうかという点であった。肯定側の主張は不十分だし全く論理的でない点もあるのだが、それを指摘できずに逆に自分達の主張に自信が無くなってしまった否定側が負けてしまった。同様のことが社会でも政治でも、そして外交でも通用するだろう。改めてディベート的思考の重要性を感じた。

その後、今週締め切りの原稿の内容考えながら帰宅するも、アイデア浮かばず本を読む。久々に講義やら授業やらと何も関係ない本を読もうと意気込むも、選んだのは「石原莞爾の予言」だった。。

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エネルギーと戦争

水曜は、院では相変わらずのめちゃ広い工学系のインプットの毎日の中、自分でも発表する機会があった。研究室内とはいうものの、工学やエネルギー系については自分が最も未熟という点もあり、ややプレッシャーを感じながら準備していた。

で、考えたあげく「石油資源と戦争」というテーマについて発表。

無理やり工学系と自分の分野である国際関係を結びつけ話を展開していったのだが、これが意外に受けがよかった。おかげで2時間の持ち時間が40分もオーバーしてしまった。

内容としては、過去の戦争から石油資源の位置付けを説明していった。その中で大戦時のドイツおよび日本の合成石油生産計画については、調べながら自分も驚いていたように教官らへのインパクトも大きかったようである。今後も工学系として数学との闘いは続くものの、これまで別分野で蓄積してきたものをスパイスとして散りばめていきたい。

051202_bergius (1931年に人造石油の開発でノーベル賞に輝いたFriedrich Bergius。彼も凄いがそれに目をつけたヒトラーも日本も凄い。出所:Nobelprize.org)

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講義(ディベートon集団的自衛権)

安保の授業では、今回は2年生が主体となったディベートを開催。

テーマは「日本の集団的自衛権の行使の是非」について。

テーマとしては結構議論はし尽くされているので、生徒達がどこら辺をポイントにしてくるのかを興味深く聞いていた。日本がアメリカに「巻き込まれる」か「見捨てられるか」といういつものジレンマで分かれるかなと思ってたが、ややずれていた。国会議員でさえ良くあることで、「集団的自衛権」と「集団安保体制」の概念がやや混乱していたようであった。結果は否定側の勝利。

皆ディベートは初めてだったようで、自分達で調べて議論するという経験によって、知識の足りなさなどを確認してくれただけでも効果はあったと思う。

天気も良いこともあり、翌日の朝は久々に伊豆で波乗りに向かう。

今回は新しく貰ったボードの初乗りで、厚さや幅もあり今までのものとは段違いに乗りやすかった。おかげで、レギュラーだけだが横に乗るのも慣れてきた。浜の端っこではサーフィンとボディボードの検定試験も行っており、モチベーション維持にも次回は是非トライしてみたい。

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講義(公債)

最近投稿をさぼっていたが、ややさかのぼって先週の講義について思い出してみる。

まず経済の授業について。

これまで後期は主に財政の話をしてきたのだが、学生は経済の基本的な点を教わっていないためにやはりピンときていないようなのが気になっていた。ということで、ここで公債(国と地方の借金)についてその増加の影響やら、プライマリーバランスとは何か、という点について説明。実は自分も新聞などではサラっと読み流していた点を改めて確認することができた。

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その後、「公債の増加にどう対処するか」という点につき、これまで説明してきた方策の一つを選んでその影響を考えてもらった。その中で、「タバコ税や自動車税といった生活に直接関連する増税は嫌だと」いう感想もあったり、「現状を考えると仕方ないがその負担増分がなぜ必要か、どのように使われるかという点を明確にしなければならない」という鋭い意見もあった。生徒の中に韓国からの留学生もいて、韓国が債務不履行、そしてIMFによる改革が実行されていた時期は本当に辛かったという生々しい感想もあった。日本はかろうじて海外への借金が多いわけではないが、額としては本当に不履行しなくて済むのかという疑問を持ってしまう。

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(相変わらず低い日本の国債の格付け。果たして国内以外で買ってくれる人がいるのだろうか。)

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