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2005年11月

2005年11月19日 (土)

講義(アメリカの地方債)

昨日も静岡はやっぱり暖かかった。

今回はアメリカの地方債についての講義。これまでアメリカの地方自治から財政面での話をしてきたが、現状の歳入ではやはり賄えないということで債券つまり借金に頼らざるを得ない。そこで債券発行の条件やら種類、市場での流通について説明。最初はアメリカの話から始まるのだが、債券という繋がりで[ライブドアのニッポン放送買収騒動での証券会社の役割][日本の巨額の公債]といった話にまで展開。(やっぱりそちらのが関心が高かった。)

アメリカの地方債の種類としては、期間別、課税別、返済減資別でいくつかに分かれている。そこで重要なのは、非営利的な目的の債券については金利収入が免税となっている点であり、だからこそ民間や家計の保持が日本より圧倒的に多い。また、一般財源(税収)が返済減資となるものは住民投票やらのハードルが高いものの、プロジェクト別のレベニュー債ではそのような障壁がないために発行額が増えている点は日本と似ている。

ちなみに日本では財政法では公共事業以外の債券発行は認めていないものの、特例公債という形で一般財源目的で発行されている債券がひっそりと巨額に上っている。実は1970年代の石油ショックから始まったらしいのだが、今や常態化してしまっている。本当にこれだけ借金が増えてどうするのかと思うが、もう少し構造的に借金増→負担増といったメカニズムを今後見ていこうと思う。

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安保の授業では、いよいよ来週に迫ったディベートの準備に皆で取り掛かる。テーマは結局「首相の靖国神社参拝の是非」と「集団的自衛権行使の是非」という二点。学部生ということで基礎知識の面でやや心配もあったが、とりあえず準備段階では結構活発に議論してくれている。留学生も入ってるし、来週の本番が実に待ち遠しい。

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2005年11月12日 (土)

技術と国際社会

今日は別専攻のセミナーに参加。

毎回技術関係について、他分野の人も交えながらのトークが非常に参考になる。

今回は「技術と国際社会を考える」というテーマで、以下3人の講演者およびパネリストが参加。

  • 堀紘一(ドリームインキュベータ代表取締役社長)
  • 金子熊夫(外交評論家)
  • 舛添要一(参議院議員)

かなり内容の濃い話になるだろうなと期待していたが、ややがっかりしてしまった。ビッグネームで多忙のためもあり、内容的には準備不足の感が否めなかった。

それでも堀さんの話はなるほどと思わせる点が多く、特に「欧米ではEngineeringが疎んじられてきた」一方で、「日本の強みはScienceEngineeringが混在となっていること」という主張は大変面白かった。確かに彼が言うように、アメリカの工学部ではアジア系をはじめとした外国人がなぜか多い。

そして、「技術を引っ張るのは軍隊と大学だけ」とし、その理由は「金銭感覚がない」という話も印象的だった。彼は、日本の戦後の復興の原因も戦前の日本海軍が技術開発を促進したためであると考え、その例として軍事用の望遠レンズをカメラに民生利用した点など説得力のある話をしてくれた。

但し現在の日本に対する苦言も忘れなかった。自分も今年に中国へ行って感じた事だが、日中で学生の眼の輝きが明らかに異なっている点を強調していた。また日本は「資源がなくて、知恵を輸出しなければ生きていけない国」であるという事実を再認識させてくれて、だからこそ技術と国際貿易推進が重要なんだという当たり前の理解に辿り着いた2年前の自分を思い出させてくれた。但し彼が素晴らしいのは、「戦前の海軍の努力の恩恵を受けた自分達が、環境と同じで技術を使いっぱなしで次の世代の事を考えないのは無責任」という使命を感じている点だった。経営者に限らずあの世代のトップが持っている使命感は心から尊敬してしまう。

尚、その後のパネルでは「原子力の危険が過剰に捉えられていること」、「インド・東南アジア諸国の重要性」、「海外からの人材招致」といったトピックについて触れる程度の議論が展開された。面白かったのは最後の点で、今回の日仏の核融合施設誘致に関連して「やっぱり飲んだり遊んだりする場がなければ人は集まらないよね」という意見が多かったことである。確かに、若くて優秀な人材が集まるアメリカの西海岸は住んでも楽しそうだし。そういえばイギリスに居たときに、実際にそれを見習ってスコットランドのある町興しのプロジェクトに携わった経験もある。より「快楽主義」的な欧米では娯楽というのは非常に重要な要素になるのだろう。そういった切り替えの巧さは見習いたいものである。という事で学校のジムで大暴れして帰った。

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2005年11月 7日 (月)

院での過ごし方

大学院も一ヶ月経ち、ようやく自分の位置が見えてきた。

とにかく新しい分野に自ら突入し、(今もそうだが)「ここは何処だ」という焦りからとにかく目の前にあるものに全て手をつけようとして非常に効率悪く過ごしてしまった。

それはそれで面白いのだが、授業やセミナーに出るたびに初めて聞く分野の話が出てきて、そこには必ずという程数式があり、そこで混乱し焦りを感じることの繰り返しだった。例えば、「空気抵抗を少なくするプロペラを開発する事により旅客ジェット機でマッハ3-4ぐらい出せるようにする研究」とか「関東平野の地下水についてどの程度の水位が適当で余りをどう有効利用するか」はまだ映像で少しは理解できるのだが、「投資家のリスク選好度をシュミレーションで計算」とかになると数字と変な記号以外出てこない。

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(出所:東京都website)最近は地下水位が高くなった為に上野駅では既に漏水している。揚水すればいいのだが地盤沈下の恐れもあり対策が難しい所。

だが、それらは確かに工学というでかい枠では同じであっても自分の研究とは余り関係がない。そして分かったのは、修士の時のように明確なカリキュラムも課題も無く「自分でゴールを設定してその為のカリキュラムとスケジュールを組まなければいけない」という点である。ドクターというとアメリカの知人の話しか知らず、「まずは共通のコースワークで慣れる事から始めるのかな」という考えも実は当てはまらないようである。

まぁ、そうであればそういう環境は慣れているし、そろそろ始動していこうと思う。

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講義(アメリカ地方財政赤字、日本の安保)

新幹線から降りると、今日も相変わらず温暖な気候で驚いてしまう。どう考えても毎日こんな感じなのかと不思議に思うが、毎回生徒にも同僚にも「先生が来るときぐらいですよ」と言われてしまう。

mtfuji(出所:富士市website) 

今回の講義は実はいつも以上に準備ぎりぎりで教室に向かう。経済の授業は前回の地方財政に引き続き、「日米の地方財政の現状と課題」について。どちらも財政赤字を抱えているのだが、その構造と行政の対応および姿勢が大きく異なってくる。まずアメリカについては、歳入減やメディケイドを始めとした歳出の増加によって地方財政も赤字を抱えている。その為に自己責任の原則から地方独自で何とか解決しなければならず、当然歳出カットや増税等が課題となってくる。そこでカリフォルニアのように住民が積極的に政治に介入してくるのだが、それも彼らの意見を反映させられるシステムがあってこそ。その分監視がしっかりしていると言える。

一方で日本の地方の場合は同様に赤字を抱えているのだが、地方交付税という強い武器がある。つまり中央が地方間の財政を調整してくれる仕組みなのだが、結局この算出も責任も不透明なシステムがコスト管理を甘くしてしまっている。これらの点を日本が抱える財政赤字の大きさと一緒に説明すると、さすがに生徒達もその深刻さを感じてくれた。ちなみに「静岡空港の是非」について聞いてみるとほぼ全員が「反対」という意見だった。

やや喉を痛めながらも次は安保の講義。

こちらは前回からの続きでアメリカの安保政策について少しおさらいした後、いよいよ「日本の安全保障」について話を始める。ということでいきなり憲法問題に飛びつく、というのではなくまずは安保政策の考え方について話す。それは当たり前なのだが、[国益、守るべき対象の明確化]→「周りの環境の把握」→[自分の防衛力の確認]→[法制度や装備等の適応、周辺も含めた安保環境の構築]といったプロセスである。日本の場合、そこに「どんな情勢でも普遍な理念or建前」といったものが入ってくるから考え方がおかしくなってしまう。という主張を展開した上で生徒にちょくちょく質問していると、喉がさらにきつくなってくる。但しそれでも回答が余りないのでとにかく話し続け、今日は自衛隊の生い立ちまでカバー。留学して初めて聞いた「三矢事件」など、実は自分にとっても良いレビューになった。

その後、相変わらずの快晴の中、海に向かいたい気持ちを抑えて同僚と駅へ向かう。彼はアフリカ、中東研究の専門家でこれからエネルギー研究に専念する自分にとっても、是非色々教えてもらいたいところ。特に「石油に頼れなくなった後の中東」というのが自分の関心でもあり、彼も興味深いと乗ってくれた。

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