« みたままつり | トップページ | AU助教授とのインタビュー »

2005年7月21日 (木)

プロジェクト発表会

火曜日は大学でゼミ毎の研究発表会に参加。四年生が、これからどんな卒論を研究するのかという事を発表し他の研究室の先生からもコメントを頂く。

普段自分らが関わっていることと全く違う分野の内容も聞けて、とても楽しかった。という事でせっせと自分用にノートを取る。

まず一人目は、「インターネット広告会社における、イベントに対する株価の分析」で、Cyber Agentといった大手ネット広告会社の株価に色々な種類のニュースがどう影響するかという内容。

アメリカだとDarren Filsonという人がこのような手法の論文を書いているらしい。結果としては、決算や競合他社の業績による影響が大きかったり、小会社の経営はほとんど関係無かったりという事。今後それらの検証が課題となるらしい。

二人目は同じようなテーマで、「東証上場企業における環境分野のニュースが株価に与える影響」について分析。株価とTOPIXの線形関係から、環境関係のニュースが個別企業の株価への影響を出している。調査期間については通常パフォーマンス推計期間が3ヶ月で、ニュースの影響は前後合わせて4日間。ニュースの中身によっても影響が異なるらしく、例えば環境対策やR&Dに対しては株価が上がったり、環境会計については対策費が高額になることから株価には負の影響を及ぼすとのこと。経営体制の変化については誰も予想できないという事で効果が曖昧。ちなみに産業毎の効果ももちろん異なり、例えば輸送分野においては環境対策費が膨大になる事からもニュースの効果薄いらしく、他にも技術開発の経済効果が異なるなどの理由があるのでは。

次にガラッと変わってエネルギー関連のゼミの発表。

最初のテーマは「MERGEを活用した将来のエネルギー需給予測」。MERGEというのは世界を9つの地域に分けて(USGSと分割地域異なる)①エネルギー経済、②気候変動、③損害評価の三つの要素の組み合わせから将来予測を出すプログラム。ここでは未発見埋蔵量を変化させた場合の影響について分析。各項目の数値に不確実性が多いに残るが、どっちにしても石油・石炭への依存が今後厳しくなるという内容。まずはプログラムの理解およびその中での供給関数や需要関数といったややこしい数式を今後勉強していきたい。

エネルギーの次のテーマは「オマーンにおける太陽光発電の開発」について。これも以前に研究計画を読んだ事もあり内容は大体理解できた。何故オマーンかというと、オマーンは人口爆発、資源量制約による石油生産の減退といった問題を抱えており石油エネルギーからの転換が求められていること。また砂漠が多く、単位面積あたり年間日射量が日本の2倍であり、世界の太陽電池シェア49%を占める日本の技術とのコラボが有効である。ちなみに太陽光発電の面積だけで見ると、仮にゴビ砂漠に全て発電装置を据え付けたら全世界のエネルギーがまかなえるらしい。研究としては、LCAだとかインベントリ分析、EPR (Energy Profit Ratio)、エネルギー収支比、CO2排出原単位、アレイ効率(太陽からのエネルギーの何%を利用に回したか)といった聞きなれない数値を導いてエネルギー収支が取れるかを計算。特色は計測の機材である亜鉛メッキ鋼についても、各原料およびその産出コストにかかる消費エネルギーとCO2排出も計算されており、全体の収支がある程度包括されていることである。これらの結果はEPR5.28-6.53という事で、とりあえず1を超えればエネルギーとしては使えるので合格だが、他の石炭・石油にはやはり見劣りしてしまう。また課題としても今後輸送用としてDME、メタノールへの転化するためのプラント建設などのコストやエネルギー収支も分析する必要がある。

あともう二つ。

一つは同様にエネルギー関連の内容で、「ピークオイル後の代替エネルギー」について。これはかなり文系の研究で、石油の歴史から始まり、ピークオイル論についての賛否、原子力発電について種類・原子炉の種類・資源の比較などを調べた後、前述のEPRでエネルギー効率を見ながらどのような資源配分になっていくかを導いている。それでもやはりEPRの曖昧さが課題が残るらしく、原子力についても例えばガス拡散式と遠心分離法で大きく異なったりするらしい。結構自分の今後の研究にも関係ありそうで、資料等少しチェックしておいた。(総合エネルギー調査会原子力部会資料、BP統計2003 OECD/NEA-IAEA URANIUM2001、資源エネルギー庁など。)

最後はうって変わって、「衛星写真を使った海岸線の変動分析」。タイのバンコクの東側の海岸にて、2000年と3年後ぐらいの衛星写真を使いながらPCで海岸線を検出してその違いについて調べていた。まずは海岸線のライン引きが結構大変らしく、結果の分析はまだこれかららしい。それでもかなり侵食されているところもあり、特にエビの養殖場はマングローブを切って作っているらしく、人間がそこから去ればぽっかりと海岸線が内陸にえぐれてしまうとの事。肝心の温暖化とかは全然触れていなかった。

google

(最近はGoogleでもサテライトのマップを使うほど衛星写真が普及)

教授陣からのコメントも結構興味深く、最初の二点の研究に関しては研究意義の浅さについて突っ込まれ、三点目はプロセスの有効性に素朴な疑問が当てられた。また太陽光発電研究についても何故これまでオマーンで行われてこなかったのか、という所にも言及があった。それと小話としてExxon Mobileがいかに凄いかという話も。(去年の利益は世界一で20兆円はトヨタの3倍ぐらい。ちなみに利益率はアップストリームで20%、ダウンストリームでも7%程との事。)

しかし皆大学4年生と思えないほどしっかり勉強して発表していた。毎日飲んで泳いでばっかりだった自分とは天と地ほどの違いでビックリ。

|

« みたままつり | トップページ | AU助教授とのインタビュー »

エネルギー」カテゴリの記事

コメント

これって、あれですよ。
領域プロジェクトの発表ですよね。
つまりひとつの完成品名わけでして。
領域プロジェクトのあらましとしては
テーマ(教授陣が用意)
生徒がテーマをみて
研究室を決定
領域プロジェクト開始。
(主にリサーチがメイン)
となっています。
ちなみに特に優秀な生徒は松橋教授のところに集まっているのではないかと・・・考察されます。

投稿: 圭輔 | 2005年7月22日 (金) 17時37分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/106690/5074701

この記事へのトラックバック一覧です: プロジェクト発表会:

» オイルピーク後、世界は大パニック (。>0<。) ナンテコッタ! [★ A Letter from ゆっぴー _φ( ̄▽ ̄ )]
  ↓『[http://d.hatena.ne.jp/yuppii/20050725:title=現状のままだと未来の世界はヤバイです(>_<;)たぶん]』の高田さんのコメント欄より 《Un homme averti en vaut deux.》 ゆっぴー 様 拝啓: > え〜、石油ってやっぱり無くなっちゃうの〜? > しかも、ゆっぴーが生きている間に… (°口°;) > じゃ、世界は今後どうなるの〜? 僕の知り合いのアメリカ人が彼の親戚と僕にくれた手紙です。ゆっぴーさん... [続きを読む]

受信: 2005年7月27日 (水) 02時12分

« みたままつり | トップページ | AU助教授とのインタビュー »