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2005年6月30日 (木)

ドミンゴ・シアゾン駐日フィリピン大使の講演

今日は超党派の議員連盟で、駐日フィリピン大使の講演を聞く。

フィリピンは現在日本が3番目に経済連携協定(EPAを結ぼうという国で、話もその内容を中心に議論が進んだ。最初のスピーチでは、大使から「日本にとってのフィリピンの重要性」や「フィリピンの関心事項」などについて以下説明。自由化にもかなり積極的な姿勢で、日本との連携に期待していることが良く分かった。その一方で、これまでの合意内容の不十分さについての不満も垣間見ることができた。

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(写真: www.nikkei.co.jp)

●フィリピン国籍の方は日本で4番目に多い在日外国人

●歴史・領土問題ない

FTA以上に政府調達や人の移動など包括的な連携を目指す

●三つの分野に重大な関心

 △ 農産品のアクセス拡大(果物等で自由化度合いに不満、厳しい植物衛生検疫の障壁 例:アメリカのリンゴは何年もクリアできない)

 △ 日本からの投資増加(現在は減少状態にある。今後の増加に期待)

 △ 人の移動の促進(日本の姿勢は限られたものだった。経団連は受入を積極的に推進しており、労働者減に懸念している。特に看護と農業の分野。)

 ▲制限厳しい - 人数制限、日本語の条件

●まずフィリピンの財政問題について考慮してほしい。企業の活動と雇用の増加が重要

●関税減によって自動車等が安くなっても国民が貧しければ買う機会がない

質疑応答の中ではより彼の本音が聞けて興味深かった。奥さんが日本人のせいか、実に流暢な日本語を使われる。知り合いからは良く「日本の女性とフィリピンの女性とどっちが好きか」というカマをかけるような質問をされるそうで、「その手には乗らない」と笑っておられた。

それと今日は超党派だったせいか、出席議員が意外に問題点に精通しているなという感じた。大使とのやり取りの中でも、自民党議員は自分達が政策決定者として、日本側の主張を理解して欲しいというスタンスで話していた。おそらく野党だったら、「政府はこうだけど我々はこうしていくから協力しましょう」というもう少し遠くを見た議論になるのだと思う。以下大使と議員団との質疑応答。(Aが大使)

Q. 看護関係の受入についてはハードル高いが。

A. 難しくても平等ならばいい。だが問題はハードルが2つあること。まず100人しか入れないということ。本当に友達としての扱いなのかと思う。町村大臣も「ゼロが一つ足りないのでは」と笑っていた。

Q. まずは様子見ということで、今後様子を見ながら増やしていくことになると思う。

A. だが100人という人数を入れてしまうとフィリピンで条約が承認されない。日本語のハードルだけでもかなり制限される(100人以下では)のでそれ程問題はないはず。日本の病院で看護状況を見たが人が夜間勤務など全く人が足りていない。将来の東アジア共同体の実現にも人間の交流が必要と思われる。

Q. ある県で老人介護施設を100作ろうとしても介護職がたりないから80しか作れないというのが実状。同一職種は同一賃金という概念を払拭していく必要がある。老人ホームの介護は職としても低く見られているのか介護人数がたりない。厚生労働省では45万人の介護師が職についていかないというがどこにいるのか。フィリピンから来てもらうという姿勢が大事。

Q. フィリピンでも介護労働者が不足しているというのは本当か。

A. 本当。若者に勉強させようとしているが、賃金の高い海外に行ってしまう。だが海外から仕送りを送ってくるため、ネットではプラスになるのでは。競争力があればどこかで活躍してもらえるのでいいと思う。

Q. 日本は資本家でなく労働者を大事にしてきて、賃金が高くなってしまった。このような賃金体系をどう思うか。

A. アロヨ大統領が触れたホームヘルパーは日本が受け入れてくれればフィリピンはウェルカム。(賃金の件については聞き取れず)

Q. なぜフィリピンへの投資が減ってきたのか。

A. 中国へ向かった。だが反日デモがあってから、これまで経営者の80%が中国投資を考えていたものの56%へ下がった。ある経営者に聞くと「フィリピンは反日主義がないから」と、中国の代わりにフィリピンへの投資を考えていた。

Q. フィリピンでも国連のミレニアムサミットの開発目標との絡みで、国内で看護労働者等確保しておく必要あるのでは。

A. 医学部卒業して2年ぐらいは国内で働く必要があるようにしている。それ以上止めると人権問題になってしまうのでは。

Q. 日本国内の外国人労働者が病院で医療を受けられなかったり、受けても払えなくて病院に負担が掛かっている状況もあるようだが。

(出席者から「ちゃんと従事していない人達に多い。通常は会社が責任を持つ。」という説明あり)

A. EPAでの介護師等の扱いは、研修中には低いが給料も出るし雇用もされる予定。他にも例えば日本財団と一緒のファンド等があり、社会保障などを補っている。本当に払えない場合はフィリピン大使館が払っている。

Q. 正確にはEPAでの取り扱いは、研修受入時最初の1年間は生活費だけ、2,3年目は給料として出せる。これまでの受入職種には介護師は入っていない。また今後の受入人数は日本政府からは明言していない。

A. だが条約には入れないでくれ

Q. 日本に期待する点

A. 日本は経済規模世界2位。中国は500年寝ていた。これから将来的には世界トップレベルになるだろうが。だが日本は技術も歴史もある。次の首相が誰かにかかっていると思う。また靖国に行くようなら駄目なのでは。問題は靖国だけではないが。若者が歴史を勉強していないので、過去の過ちをまた起こすのではと心配になる。

日本はリーダーシップ取らなければ。その為には政治家がビジョンを持つ必要。

Q. 中国とフィリピンとの関係は

A. フィリピンは中国系多い。一方で日本で勉強・研修した人達を大事にする。中国とは領土問題あるが日本とはない。

以上 

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