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2005年6月

2005年6月30日 (木)

インテリジェンス

今日も今日とて講義の準備。

いよいよもう7月ということで、講義もあと3、4回(正確に把握していない)。

次回の安保の授業は「軍事技術・軍事革命・インテリジェンス」について説明する予定で準備。とりあえず日本語でいうところの「情報」と「インテリジェンス」(分析・評価したもの)の言葉の違いなど、基礎から読み進める。

インテリジェンスのプロが言うには、現在は必要とする情報の95~100%は公刊情報で入手できるが、重要なのはこの過多な情報の処理能力ということ。冷戦時代のKGBも競うようにモスクワに情報を送ったが、そのほとんどが処理されずに捨てられたらしい。

確かに最近の情報アクセスの向上はすごい。ネットさえ繋がればかなりの個人情報も取れるのでは。つい昨日も、10年以上ぶりに地元の友達から急にメールが届き「おぉ?」とたまげてしまう。しかもこのブログも見てくれたとのこと。一応匿名なのに良く分かったなーと関心してしまう。「勉強しなくちゃ」って言ってくれる人もいたり「内容はちんぷんかんぷん」って言われたりもするが、確かに興味の無い人には全く面白くないなとは十分理解。元々自分のノート代わりで使っており、読んでくれてた人がいたとは、嬉しいようで申し訳なくもある。。でも普通の個人的日記や内輪ネタだと単なる自己満足だしな、、とも思うし。

ともかくかなり元気づけられた!

(一方で、情報アクセスの話にもどると、「悪いこと出来んな」という不安も。。)

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ドミンゴ・シアゾン駐日フィリピン大使の講演

今日は超党派の議員連盟で、駐日フィリピン大使の講演を聞く。

フィリピンは現在日本が3番目に経済連携協定(EPAを結ぼうという国で、話もその内容を中心に議論が進んだ。最初のスピーチでは、大使から「日本にとってのフィリピンの重要性」や「フィリピンの関心事項」などについて以下説明。自由化にもかなり積極的な姿勢で、日本との連携に期待していることが良く分かった。その一方で、これまでの合意内容の不十分さについての不満も垣間見ることができた。

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(写真: www.nikkei.co.jp)

●フィリピン国籍の方は日本で4番目に多い在日外国人

●歴史・領土問題ない

FTA以上に政府調達や人の移動など包括的な連携を目指す

●三つの分野に重大な関心

 △ 農産品のアクセス拡大(果物等で自由化度合いに不満、厳しい植物衛生検疫の障壁 例:アメリカのリンゴは何年もクリアできない)

 △ 日本からの投資増加(現在は減少状態にある。今後の増加に期待)

 △ 人の移動の促進(日本の姿勢は限られたものだった。経団連は受入を積極的に推進しており、労働者減に懸念している。特に看護と農業の分野。)

 ▲制限厳しい - 人数制限、日本語の条件

●まずフィリピンの財政問題について考慮してほしい。企業の活動と雇用の増加が重要

●関税減によって自動車等が安くなっても国民が貧しければ買う機会がない

質疑応答の中ではより彼の本音が聞けて興味深かった。奥さんが日本人のせいか、実に流暢な日本語を使われる。知り合いからは良く「日本の女性とフィリピンの女性とどっちが好きか」というカマをかけるような質問をされるそうで、「その手には乗らない」と笑っておられた。

それと今日は超党派だったせいか、出席議員が意外に問題点に精通しているなという感じた。大使とのやり取りの中でも、自民党議員は自分達が政策決定者として、日本側の主張を理解して欲しいというスタンスで話していた。おそらく野党だったら、「政府はこうだけど我々はこうしていくから協力しましょう」というもう少し遠くを見た議論になるのだと思う。以下大使と議員団との質疑応答。(Aが大使)

Q. 看護関係の受入についてはハードル高いが。

A. 難しくても平等ならばいい。だが問題はハードルが2つあること。まず100人しか入れないということ。本当に友達としての扱いなのかと思う。町村大臣も「ゼロが一つ足りないのでは」と笑っていた。

Q. まずは様子見ということで、今後様子を見ながら増やしていくことになると思う。

A. だが100人という人数を入れてしまうとフィリピンで条約が承認されない。日本語のハードルだけでもかなり制限される(100人以下では)のでそれ程問題はないはず。日本の病院で看護状況を見たが人が夜間勤務など全く人が足りていない。将来の東アジア共同体の実現にも人間の交流が必要と思われる。

Q. ある県で老人介護施設を100作ろうとしても介護職がたりないから80しか作れないというのが実状。同一職種は同一賃金という概念を払拭していく必要がある。老人ホームの介護は職としても低く見られているのか介護人数がたりない。厚生労働省では45万人の介護師が職についていかないというがどこにいるのか。フィリピンから来てもらうという姿勢が大事。

Q. フィリピンでも介護労働者が不足しているというのは本当か。

A. 本当。若者に勉強させようとしているが、賃金の高い海外に行ってしまう。だが海外から仕送りを送ってくるため、ネットではプラスになるのでは。競争力があればどこかで活躍してもらえるのでいいと思う。

Q. 日本は資本家でなく労働者を大事にしてきて、賃金が高くなってしまった。このような賃金体系をどう思うか。

A. アロヨ大統領が触れたホームヘルパーは日本が受け入れてくれればフィリピンはウェルカム。(賃金の件については聞き取れず)

Q. なぜフィリピンへの投資が減ってきたのか。

A. 中国へ向かった。だが反日デモがあってから、これまで経営者の80%が中国投資を考えていたものの56%へ下がった。ある経営者に聞くと「フィリピンは反日主義がないから」と、中国の代わりにフィリピンへの投資を考えていた。

Q. フィリピンでも国連のミレニアムサミットの開発目標との絡みで、国内で看護労働者等確保しておく必要あるのでは。

A. 医学部卒業して2年ぐらいは国内で働く必要があるようにしている。それ以上止めると人権問題になってしまうのでは。

Q. 日本国内の外国人労働者が病院で医療を受けられなかったり、受けても払えなくて病院に負担が掛かっている状況もあるようだが。

(出席者から「ちゃんと従事していない人達に多い。通常は会社が責任を持つ。」という説明あり)

A. EPAでの介護師等の扱いは、研修中には低いが給料も出るし雇用もされる予定。他にも例えば日本財団と一緒のファンド等があり、社会保障などを補っている。本当に払えない場合はフィリピン大使館が払っている。

Q. 正確にはEPAでの取り扱いは、研修受入時最初の1年間は生活費だけ、2,3年目は給料として出せる。これまでの受入職種には介護師は入っていない。また今後の受入人数は日本政府からは明言していない。

A. だが条約には入れないでくれ

Q. 日本に期待する点

A. 日本は経済規模世界2位。中国は500年寝ていた。これから将来的には世界トップレベルになるだろうが。だが日本は技術も歴史もある。次の首相が誰かにかかっていると思う。また靖国に行くようなら駄目なのでは。問題は靖国だけではないが。若者が歴史を勉強していないので、過去の過ちをまた起こすのではと心配になる。

日本はリーダーシップ取らなければ。その為には政治家がビジョンを持つ必要。

Q. 中国とフィリピンとの関係は

A. フィリピンは中国系多い。一方で日本で勉強・研修した人達を大事にする。中国とは領土問題あるが日本とはない。

以上 

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2005年6月26日 (日)

エネルギーストック依存型人間圏はどこまで続くか

ヤングライオンズブログから第二弾。

今年の3月末にお聞きした、東大の松井孝典教授の講演に関連しての感想を以下。

最近、一面ではないにしても毎日必ずといっていいほどエネルギー関連の記事があります。

原油の高騰と需要高が止まらず、でもだからといって強力な代替エネルギーが無い中で「これからどうするんだ」といった内容です。短期の手段としてはやはり石油資源に頼らざるを得ず、日本も官民が協力して激化する世界の権益争いで闘おうとしいます。

昨日は東大の松井孝典教授の話を聞いてきまして、松井教授は原子力と石炭のガス化という手段を主張していました。後者は豊富にある資源の効率的活用ということで石油同様にストックに依存するのは変りませんが、究極のエネルギー源としては原子力しかないとの事です。

松井教授の話では、1万年ぐらい前から地球の気候が安定し人類が栽培を始めるようになってストック依存型になったとのことです。その前の狩猟採集の時代はフローに依存する社会ということで、人間はまだ人間圏というものを創ってなく生物圏の中で地球に優しい生活をしていました。

しかし今や狩猟に頼るフローの生活には戻れません。環境も含めていかにストック依存型社会を持続できるかがこれからの課題です。そこでは太陽光や地熱といった自然エネルギーも考えられますが、現在の人口を支えきれるわけがなくやはり原子力の開発は避けれない状況です。

その点で松井教授も言っていましたが、まずは前提をどこに置くかという点が重要で、地球システムとしてある程度維持できる人口や暮らし方で抑えるのか、今のような人口規模・ライフスタイルを追求していくかというイメージがはっきりしないと議論もまとまらないようです。答えは言わずもがなの後者でしょうが、その際にはいかにリスクと共に生きていくかという点になるんでしょうか。

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映画のテーマ性(ロボットと環境)と研究

ちょっと前回の記事が重かったので、やや軽いのを以前ヤングライオンズブログに書いたものから以下引用。

今日テレビを付けていたら「マトリックス」をやっていたので久々観てしまいました。
製作は何と1999年との事ですが、今でも十分見ごたえのある内容でした。映像はもとよりそこでのメッセージ性も気になりました。

matrix

(写真: www.amazon.com)

テーマは二つ。人工知能を持ったロボットがやがては自らの意志を持ち、人間を逆にコントロールするようになること。「マトリックス」で驚くのはロボットにとって人間が絶滅の対象ではなく、自分達のエネルギー源となる電池として栽培される対象であることでした。もう一つは人間は他の哺乳動物と異なり、地球にとって天然資源を消費しシステムを破壊するウィルスのような存在であるということ、です。

最初のロボットに関するテーマは古くは「ターミネーター」にも代表されるように結構おなじみですが、科学的には今や非現実とも呼べないような状態に近づいてきたんじゃないかと思います。またロボットの人工知能と言えないまでも、例えば遺伝子、ナノテクノロジーなどの開発の進行によって人間がコントロールできないような細菌が繁殖するというようなリスクもあるかと思います。

後者の人間が環境を破壊するというテーマはこれもよくある話ですが、最近の映画ではロボットなんかが人間を支配する理由なんかにも用いられています。これもしばらく前に観た「アイロボット」では、「人類を守る」という基本指令に従うためにロボットが飽和状態にある人間を少なくしようといった皮肉な結末を導いています。

irobot

(写真: www.amazon.com

どちらも現実味のある話と思えますし、そのようなシナリオを想定して未来図を描き、更にはそのプロジェクトを映画という大きなビジネスにする点もアメリカの戦略性を感じてしまいます。そういう点では、ファイナンスおよび発信という面で映画と政策研究の共同もあり得るなと感じてしまいました。

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イラクでの民間警備会社

先日、イラクで拘束された斎藤さんが勤めていた事からも、戦争における民間警備会社の役割が注目されるようになった。

留学時代からお世話になっているPBS(日本だとNHKのようなものか)やCNNのサイトなどで確認していたのだが、想像以上に危険な状況下で働いている。軍隊ほどまともな装備も訓練もブリーフィングも得てないながらも、時にはより危険な警備の前面に立たなければいけない。

story

(写真:http://arabic.cnn.com/

そのインセンティブはやはり「高収入」だという。家族の心配もありながら、「2ヶ月ぐらいイラクに行ってgood moneyを得てくる」と行って出かけて帰らぬ人になった例もある。中には元アメリカ兵としてイラクに来て、民間へと移った人達も多くいるという。収入でいうと、例えばErinysというイギリスの民間警備会社は、米陸軍のエンジニアの警備で年間約5000万ドルもの収入を得ているとのこと。イラクで働くErinys社員の給料も当然高い。ある社員は一日約400ドルぐらいの収入をもらっており、兵士のほぼ二倍に当たるという。中には一日1000ドル稼ぐ人もいる。このような高収入を求めて、米英だけでなく、東南アジアや南アジアからも多く出稼ぎに来ているようである。

彼らの活躍が増える一方で問題も多い。軍隊も民間に外注化しすぎて統率ができず、その統率や全体のブリーフィングをまた外注化してしまうケースもある。また民間社員の犠牲も多い。イラクに潜む敵にとってみれば、アメリカ兵だか民間会社だかの区別も付かず、同様に襲撃されている。しかも民間会社は全てが自社の犠牲者数を発表しているわけではないので、全体像はぼかされている。それで、また引き続き社員の募集を続けている。

イラクの内情は想像以上に悪い。今や「現地でアメリカ兵が襲撃され死亡した」というニュースは毎日なので、余り取り上げられることも無くなってしまっているが。特にファルージャの空港までの道路は現地では「死の道」と呼ばれているように、ここ数ヶ月でもわずか10マイル程の区間で約150回の襲撃が行われているという。その襲撃の中に民間社員も含まれている。ソマリアの時ほど世論に影響は無かったようだが、イラクにおいては民間社員が襲撃され、焼かれ、引きずられ、吊り上げられている。そしてその報復としてアメリカ軍が中心となり、イラク反抗部隊のアジトを思われる場所を総攻撃している。

somalia (ソマリアで引かれる米兵 写真:Paul Watson/AP)

highriskp (イラク・ファルージャで吊り上げられる民間会社の犠牲者           写真:www.pbs.org)

イラクから撤退したがっているアメリカ軍が実際に撤退し始めれば、更にこれら民間警備会社の役割も犠牲も増えてくると思われる。軍隊の行動や犠牲であれば世論は政府に訴えることができるが、民間の場合、あくまでビジネスに伴う自己責任ということで世間の注目も浴びず政府からも利用され続けるのだろうか。

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2005年6月25日 (土)

授業(アメリカの援助政策)

今日も暑い中、授業に出かける。

テストも近いせいか、微妙に人数が増えているような気が。今日の内容は「大戦後の経済外交」だが、その中でも特に援助外交に絞る。

改めて調べる前はかすかに名前は聞いたことがあったような、欧州へのレンドリース(武器貸与法)からマーシャルプラン、その後の対外援助法について講義。自分でも「なるほど」と思いながら説明していたのが、マーシャルプランの際に被援助国につけた色々な条件。例えば各国が石油を他国から輸入する際に米ドルを使用させたり、農作物の輸入は全てアメリカからだったり。このような、自国の通貨の国際化や国内で過剰となっていた農作物を戦略的に援助国に回したりと、結構あからさまだけどなかなか言い切るのは大変にも思える。

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(マーシャルプラン被援助国と規模  出典:wps.ablongman.com)

その後国内の政策決定の主導権が議会に移ってやや変わってくる。「アメリカの利益の為に」とはっきり謳って検証も厳しく行っている点は、一貫しないと言われるアメリカ外交の中でもボトムとして抑えている点であろう。日本の援助もアジア諸国に対する「補償」、つまり与える方も受け取る方も当たり前的な感覚から、すぐにでも抜け出さなければ。

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2005年6月22日 (水)

議会調査局(CRS)の先輩

今日は国会で打合せ。

その後、ちょうど議員とアメリカの議会調査局(CRS)の人との面談があったので同席させてもらった。お互い自己紹介しながらすぐ分かったのだが、なんと自分の大学院の遠い先輩だった。結構知人もいたし、本当に"it's a small world"と実感してしまった。

さて、面談内容は日本の自由貿易協定(FTA)について。まさに自分の得意分野で、与野党の方針の違いや今後の動きについて話した。話していて感じたのは、やはりアメリカから見れば日本の農業分野がネックで日米ではFTAの話はできず、それならば積極的な韓国やらASEANと交渉した方が効率的だという姿勢。また一点調べる必要を感じたのは、アメリカの通商代表部(USTR)がFTA交渉を全て仕切っていると思ったが、例えば入管などはUSTRの管轄外だということ。確かにUSTRにはそれぞれ機能別の分科会が多くあり、その分野に入管が入ってないということか。

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Mr.Raymondと一緒に。

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2005年6月21日 (火)

老いる東アジア

昨日のゼミでのシュミレーションに関して、人口統計で気になってたことを一言。

今年の初めに国連の人口予測が出たが、その中で顕著なのは東アジアの高齢化。年齢の中位値から見ると日本は2050年には今より10歳ぐらい高くなって52歳になってしまう。だが深刻なのは韓国やシンガポールで、韓国にいたっては今より約19歳高くなり54歳になる。結構若いというイメージがあったが、数十年後には日本以上に深刻な高齢化を迎えてしまう。共通するのはお互いに、移民の受入れが先進国内で極端に低いことであり、反対にどんどん受けいれているアメリカは若さを保っている。政府は一刻も早く、この国際的な人材獲得競争に力を入れるべきである。

また中国も「一人っ子政策」のおかげもあり、人口増加は抑えられる一方で構造の歪みはどんどんひどくなる。高齢化はもとより、男女比のアンバランスがかなりひどくなる。ある統計によると2020年には3-4千万人の男子が嫁不足になるらしい(日経6/7)。これら男性のやり切れない思いが何処へ向かうのか、恐いものがある。

確かに今年北京に行った時には、女の子1人に男2人といったカップル(?)もいくつか見た。またデートしても男性が女性の分も全て払うのは当たり前らしい。男性はお金やら気遣いやらで本当に大変である。これでは自分は中国人の子にはもてそうもないな・・と思ってしまう。実際、知り合いの中国人の子には「あなたはジェントルマンじゃない!」といつもダメ出しを食らっている。。

(以下参考記事)

読売新聞2005年02月25日(金)
日本、2050年も世界一の長寿国…国連予測
 【ニューヨーク=大塚隆一】国連経済社会局が24日発表した世界人口予測2004年版で、日本は2050年も世界一の長寿国の地位を保ち、社会の高齢化が一段と進むことがわかった。

 だが、もっと深刻な事態が予想されるのは隣の韓国や中国、そしてシンガポールだ。

 一方、米国は先進国の中で例外的に、若々しさを保ちながら人口増を続ける国になっている。

 世界人口予測によると、日本の人口は現在の1億2800万人(10位)から漸減し、2050年には1億1200万人(16位)にまで落ち込む。一方、平均寿命は90歳近くまで延び、2位のアイスランドを2歳分以上引き離しトップの位置を維持する。

 日本はすでに、総人口のちょうど中間の年齢(中位値)が42・9歳で、1990年代前半にスウェーデンを抜いて以来、世界一の“高齢国”を維持している。2050年には「中位値」がさらに10歳分アップし、「50歳でも世間ではまだ若い方の部類」という時代を迎える。

 しかし、高齢化がもっと急速に進むのは隣の韓国だ。現在の「中位値」は35・1歳だが、国連の予測では2050年には日本も飛び越して一気に世界最高の53・9歳になる。さらにシンガポールも日本に肉薄する高齢国になる。

 中国の高齢化も深刻だ。60歳以上の人口は現在の約1億4000万人(総人口比11%)から2050年には3倍にあたる約4億3000万人(同31%)に激増。世界の60歳以上の5人に1人は中国人という高齢者大国になる。国連経済社会局の大崎敬子・人口移動課長は「韓国も中国も欧米型の老人介護を受け入れることはできないと思っている。(まず高齢化に直面する)日本の経験から学びたいと思っているはずだ」と指摘。とくに中国については「悪名高き一人っ子政策がもたらした人口構造のひずみは日本の比ではない」と前途の多難さを予測する。

 高齢化や少子化が途上国も巻き込んでいく中で、異彩を放っているのが米国だ。人口は増え続けて2050年も世界3位の地位を保ち、上位10か国に名を連ねる唯一の先進国になる。そのうえ、「中位値」も今より5歳分アップの41・1歳になるだけ。世界全体の「中位値」が10歳分近く上昇することを考えれば、むしろ一段と「若い国」になる。その源泉は移民の力だ。若き超大国・米国の活力は今後も衰えそうもない。

 世界人口予測は、各国政府のデータをもとに国連が独自の仮定や分析を加えてまとめた。

 ◆年齢の中位値=全人口を年齢順に並べ、両端から数えて真ん中にあたる人の年齢を示す。例えば人口10001人の国がある場合、年上から(あるいは年下から)数えて5001番目の人の年齢を指す。年齢の構成を反映する指標で、中位数年齢ともいう。

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2005年6月20日 (月)

温暖化ガス排出の予測プロセス

今日は大学院でエネルギーのゼミ。

テーマは、京都議定書で有名な温暖化対策の研究会議であるIPCC(気候変動に関する政府間パネル)のシュミレーション。論文はネットで誰でも読めるようになっている。

IPCCと言えば、「地球の平均地上気温が1990年から2100年までに1.4~5.8度C上昇する」と予測しており、これらの研究結果に沿って各国の削減目標が設置されてきた。直接この結論を導いたものではないと思うが、今日の論文は2000年にIPCCが2100年までの温暖化ガスの排出シナリオの査定をしたものであり、結構楽しみながら読んだ。

内容は、以下の6点につき多くのシナリオからの結果の分布を分析したもの。

  • 二酸化炭素
  • 二酸化硫黄
  • 人口推移
  • 世界経済規模
  • 一次エネルギー消費
  • エネルギー単位当たり炭素排出量

結果としては、、、結果に与える主な要素や不確実性の範囲などの基礎的なものを表しているということ。という事はつまり、将来はこれだけ変動する可能性がありますよ、と言っているだけで、その根拠も人間が考える範囲のシナリオの範囲にしか過ぎない。

co2

例えば上のグラフは二酸化炭素の排出量を1990年=1として今後どれだけ変動するかを示したもので、これだけ予測に幅がある。これでどうしろと言うのか。

ただし、一応心がけとしては説得の材料になるべき点もある。例えば右の傍線は左から、「排出量削減の為に介入したケース」、 「介入か非介入か区別できないケース」、「全く介入しないケース」となっているが、これを見る限りやはり介入した方が将来の不確実性が低く抑えられるという事になる。

しかし、まさかこういう予測で各国に具体的な数値まで設定できるのか、と疑問は残る。。

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授業(国連改革)

安保の授業は引き続き国連について。

今回は冷戦後はじまった国連改革を経て、ようやく現在の動きについて講義。アナンが事務総長になってからの流れや、去年からのめまぐるしい各国の動きついて説明。

その中で、「日本の常任理事国入りについて」の賛否を生徒に聞いたら、大多数が賛成。メディアの論調も最近は反対を唱える声はほとんど聞かれないし、世論としてもまとまってきたのか。10年ほど前は今の小泉首相だって反対を唱えていたことから比べると、だいぶ国際貢献ということについて理解が深まってきたのか麻痺してきたのか、どっちかだろうか。外務省も広報に頑張ってるし。

一応国連は集団安保体制を基本としているのだから、武力行使に全くノータッチという形での責任負担という明確な線引きは難しいと思うのだが。自分も日本の安保理入りにはもちろん賛成だが、賛成派の大多数が結構ここら辺を楽観的に考えている点には懸念している。前回のイラク戦のドタバタの時に、「日本が非常任理事国としても安保理に入ってなくて本当に良かった」と言った人もいたが、確かにあのような場面でどう動いたか(動けたか)考えてみるだけでも結構心配してしまう。

ちなみに、先週の授業の段階ではアメリカが「新常任理事国は日本ともう一国のみ」と言い出して、G4と連携する日本にとってはまたもや難しくなってしまった。一方で、アメリカの議会は「国連が改革できなかったら分担金の一部は払わない」とか言ってるし、いまいち主張が良く分からない。また各国もそれぞれが好き嫌いあって複雑に絡んでいるし、今後結局まとまる気配もなくなってきた。

また今のままだと、拒否権の拡大もほぼ絶望的に見える。G4の唱える15年後の見直しというのも、ほぼ辞退しているに等しい。拡大が無理ならば、せめて準常任理事国(拒否権なし)を含めた理事国に(一定票の獲得によって)拒否権をくつがえす権利を与えるぐらいしないと、結局安保理自体の機能向上にも繋がらない。

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2005年6月19日 (日)

授業(アメリカの経済外交)

金曜の授業はまたアメリカ経済から。

今回は、主に対外関係中心として、1930年代からのアメリカの経済外交の初期について。なぜ1930年代からというと、この時期は大恐慌も経験して政府がこれまでの自由放任主義から経済に介入するようになった転換が見られる。また大戦前のブロック経済への対処や、第一次、第二次大戦もあって主にヨーロッパに対する援助政策など、政府の役割が急務となっていった時期でもある。

その中で、欧州との戦債問題やら、久しぶりに聞いた武器貸与法(Lend Lease)による経過を説明。また戦後の欧州復興のためのマーシャルプランや占領地援助等によって、イギリスから覇権を譲り受け、戦後の国際秩序を構築していく流れを説明しながら、自分自身もアメリカのスケールの大きさに感心。

戦争中にその後の大きなビジョンを描いているだけでなく、それを実行できてしまう能力もすごい。ただし冷戦後はそのプロセスが準備不足であったり、その後も思い通りにいかなかったりと苦労はしているが、自らの「国のかたち」づくりに汲々としている日本と比較すると圧倒されてしまう。

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(欧州の第二次大戦関連でお気に入りのDVD。アメリカのパラシュート部隊がノルマンディー上陸から終戦を迎えるまでを忠実に再現。「プライベート・ライアン」のスピルバークとトム・ハンクスの強力タッグで画像もめちゃリアル。 写真:紀伊国屋オンライン)

来週は戦後の動きを講義予定。ここら辺は余りまとまった資料もなく、散らばった歴史を繋ぎ合わせながらの作業なんで、準備もいつも以上に大変なところ。だが前期講義もあと5回、頑張ろう。

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2005年6月13日 (月)

石油不足にどう対処するか

今日は大学院のゼミでエネルギー関連の勉強。

これまで数式に悩まされていたが、ようやく内容も文系が理解できるようになってきた。テーマは、「石油危機が供給サイドだけでなく実は需要サイドの行動も問題である」という点。

実際に戦後からこれまで、何回も石油需給の混乱があったが、その中には買いだめによる需要の急増も影響していた。それで、そのような不安定性に備えるためにもやはり備蓄しておく事が必要との結論。今となっては当たり前だが、1974年のオイルショックを経験するまで国際的にもほとんどそのような対処が取られてこなかった。それでIEA(国際エネルギー機関)が設立されて、加盟国に条件付けるようになった。

各国の備蓄状況

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つまり、生産がOPECをはじめとした一部の国に管理されてしまっているので、備蓄=在庫で何とかショックを和らげるという目的。仮に生産が抑えられたままだったら、消費国の備蓄も無くなり結局ダメージを被るが、石油の価格も下がるし産油国も当然収入が減るので産出を再開せざるを得なくなる。また産油国が特定国への禁輸の際に、他輸出国から当該国への転売禁止等制限を課したりしてくるので、その為にもある程度在庫が必要となる。

ちなみに備蓄には民間と政府の両方の形態があり、最近では民間備蓄増のためなのか単なる投機なのかといった動きが拡大している。これも価格の急上昇という影響だけでなく、政府備蓄の維持も難しくしてしまう。

最後に、石油価格に関してはやはり産油国と消費国での産業構造の大きすぎる違いが問題である。同じ石油でも先進国はそれを使って付加価値を増やせるが、産油国はダイレクトにその売った価値しか残らない。この点でも価格に対する「安い」「高い」といった見解の違いが出てくる。こういう課題こそが、エネルギーと国際政治の両者の観点を持って取り組む点で、これからガツンと攻めていきたい。

ただ一番可愛そうなのは、開発途上で更に石油輸入国であり、こういう国々をどうするかという課題を捉えると際限なく広がっていきそうな不安が出てきてしまう。

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2005年6月11日 (土)

Enemy of the State (エネミー オブ アメリカ)

今日掲題のタイトルの映画を観た。

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(Photo: Yahoo! Movies)

アメリカ政府による盗聴や監視が描かれた話で前から気になっていたが、思った通り面白かったし考えさせられた。

まず、全体のシーンがワシントンDCの見覚えのある場所をあちこち映し出していて本当に懐かしい。特に物語の最初で、主人公の大学(ジョージタウン)の同級生が自転車で爆走するコネチカット通りは、まさに自分も数年前に自転車で走っていたあたりだけに一気に引き込まれた。

その後は、政府の盗聴や監視機関としてNSA(国家安全保障局)が舞台となり、これも今後の研究のいいきっかけを与えてくれたと思う。NSA自体はメリーランドにあり、私も何回かあの真っ黒い建物の近くを通ったことがある。建物の内部はもちろん、その活動や予算や人員などについてもほとんど公開されておらず、一層怪しさを増している。最近ではこの映画のように国内だけに留まらず、海外においても「エシュロン」というネットワークを使ってあらゆる通信を盗聴しているようである。

1998年に作られたこの映画は、その後の技術革新や9.11による国家の厳戒態勢の中でかなり現実に近づいていると言える。実際にテロ対策の一貫としての「パトリオット法」では捜査当局による盗聴活動をかなり拡大しており、技術面だけでなく法的にも映画を超えている可能性さえある。

更に現実がもっと恐いのは、NSAのような活動が政府全体が認める形で行われるかもしれないということである。、映画ではNSAが他の機関(例えばFBIなど)に活動が漏れたり制限されたりするのを恐れて独自に行動していたが、例えば今般の脅威である「テロ」としてまさに「国家の敵」として怪しまれた場合、警察であろうがFBIであろうがNSAと一体となってターゲットを追い詰め、闇に葬られてしまうのではとさえ思ってしまう。

個人的にはこのようにメッセージを持った映画やドキュメンタリーがとても気に入っている。ただ一点引っかかるのは、今回のようにNSAを舞台にしたり、それをかなり批判的に映し出している場合、何ら障害は無いのだろうかという事である。それも華氏911などの例を考えると取り越し苦労だろうか。ハリウッドとワシントンは一方では繋がっているようにも見えるし、一方では独立しているようにも見える。後者の理念がしっかり残っているのもアメリカの強さかも知れない。

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2005年6月10日 (金)

授業(国連改革)

安保の授業は今日も国連について。

冷戦後の役割変化からガリ、アナンの改革推進の内容を説明。ガリの出した改革案は理想的に見えるがソマリアやコソボ等での失敗が響き、再選時にはアメリカに反対されてしまった。その後アナンはイラクの件も乗り越えなんとか頑張っているが、いざ改革案を採択するかという最近になって主要国の反対が目立ち始めている。中国がうるさいのは予想通りとしても、アメリカもドイツを名指しで批判してきた。おそらく国連、各地の大使館はロビィング合戦だと思うが、頑張って欲しいと思う一方で手段と目的を見失わないで欲しいとも願う。

ちなみに今日からは出席自由にしてから一発目の授業。「(生徒は)激減するでしょう」という同僚の声に反して、ほとんど人数は変わらなかった。その中でも「これは残るだろう」と思った生徒がいなかったり「これは来ないな」と思ってた生後が頑張ってたりと、面白い。ただ授業が終わってから、「出席取らないんすか?」とがっかりしていった生徒もいたのでまだまだこれからだ。

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授業(アメリカの冷戦後経済)

今日も何とか終わった。。

これでアメリカの経済史について計4回で独立から現代までカバーした(つもり)。アメリカの歴史は短いとはいえ、独立からだったら230年ぐらいもある。それをわずか6時間で終わらせるんだから、かなり内容は粗めだった。それでも何とかポイントは抑えるよう努めてきたがどうだろうか。何かしら印象に残ってくれてるとありがたい。

今日は冷戦後から現代までの経済動向について説明。実はこの時代はアメリカ史の中でも最長の好況期であり、何と10年半以上も続いた。ちなみに日本は何年だったか。。ここでは特に民間セクターが経済をグイグイ引っ張るんだが、その中でもやはりITと金融は強い。ただ一方でリスクは切り離せず、「ニューエコノミー」と言われた持続的成長も2000年に入って急激に減速してしまった。そこでこれまで積もってきた構造的課題に取り組む時期が来ている。膨らむ財政赤字と経常赤字、広がる所得格差や教育など課題は多い。

しかし、こんな中でも底堅いアメリカの消費は頼もしい。裏返って貯蓄率の低さはもちろん気になるが、GDP7割をも占める消費が冷えるとどうしようもない。この辺も日本と比較すべきところか。ちなみに、アイスの重量までチェックしてできる限り安いものを買おうとする私は、どこに行っても経済に優しくないでしょう。

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2005年6月 6日 (月)

カルテルとしてのOPEC

今日は大学院でのゼミでした。内容もようやく面白くなってきて、今日の議題は「石油価格決定におけるOPECの役割」です。

OPECとは、戦後まもなく世界の石油価格を左右してきた国際石油資本(メジャーズ)に対抗する形で中東諸国が集まってできた組織です。OPECは今やメジャーズを軽く凌いで石油の生産や価格を牛耳っており、有名な例としては1970年代の生産調整によって急激な価格の高騰を引き起こしました。このOPECが、これまでのように価格を支配することができるのか、という点について議論してきました。

結論としては、(当然ですが)できるということです。なぜなら圧倒的なシェアを維持し続けますので。

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ただ、これだけですと議論にもならないので少し補足します。

実は現在は石油を使用する際の熱効率も向上してきており、消費自体の伸びも抑制の方向に向かっていて、必ずしもOPECの思うがままとはいえない時もあります。またOPEC内でも、特に算出の大きいサウジの影響力に他国がどう付き合うか、といった問題や価格を左右する際にも短期および長期の利益やコストも考える必要があります。

石油は枯渇性資源であり、あと何十年もつかということが世界経済の大きな懸念でありますが、消費国以上に石油資源に実は大きく依存する産出国こそ今後の見通しに懸念を膨らませていると思います。中東といえば国際政治では宗教・民族間の紛争解決だけがクローズアップされてますが、石油枯渇後の将来図についてもそろそろ考える時期に来ています。

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2005年6月 4日 (土)

授業(集団安保体制)

さて、昨日の二発目の授業です。

まずは先日行って来たサコダ氏の講演模様を説明。当たり前ですがサコダって誰も知らないようで、アーミテージって名前を出しても全く反応無し。一応アメリカの中国への懸念や6カ国会議の意義なんかを話したんですが、皆固まってました。やはり日米安保の基礎を教えとかないと難しいか、と感じた次第です。

授業はようやく、「集団安保体制」の説明について。ようは国連のように加盟国で協力して違反国に制裁を加えるというもの。まずはそこら辺の概念と説明して、国際連盟から入りました。今回改めて調べて見ましたが、国際連盟の欠陥はアメリカが参入できなかった事だけでなくて、軍事的制裁力がほとんど無かった事や、その後も理事国のほとんどが脱退しまった事もあり、その辺の経緯は従来のリアリストvs国際協調主義の葛藤が見えて結構面白い。

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(国連前のオブジェ。出典:Earth Island Institute)

その後、国連の基本的なところを説明しながら前回出した幾つかの検討課題について皆で議論。「国連は無意味か」というものすごい漠然とした質問については、予想通り意見が割れて為になったと思います。要は機能・目的をどこに注目するかで見方も変わってくるという事。しかし国連システムとしてはものすごい広い分野を大きな機関でカバーしているのには改めてびっくりです。

一方、「巨大な官僚機構か」という点についても、実は予算的にはNY市の1/4だったりと意外な小ささにも驚きです。「官僚かどうか」、という点については職員の処遇なんかに興味があったようです。ちなみにとりあえずネットで調べると「給与への課税の有無」についてはやや情報が錯乱しているようで、(おそらく)信頼できる国連サイトでは「課金」という形で天引きされているようです。同じく国際機関の世銀で働いている友達の話からは、もう少し待遇が良かったよな、と感じたんですがまた機会あればもう少し細かく調べます。

なお、授業については今後出欠は一切とらない事を断言。自分の経験からも、勉強する意味も分からず意欲も無しという状態では絶対に何も残らないし、お互い時間の無駄になってしまうからということで。但し出席するからには緊張感を持ってもらって、こっちも気合いれて教えていこうと思います。同僚の講師からは「生徒が激減するんじゃない?」と言われましたが、工夫次第でまた増えるでしょう、と楽観視してます。

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授業(アメリカの戦後経済)

昨日はいつも通り大学での授業ニ連発でした。

まずはアメリカの経済について、「戦後から冷戦後」までの流れを説明。歴史的にもかなり内容の濃いこの時期を一気に突き進むため、内容は産業毎と政府の役割を追う感じで進行しました。政治面での動きはとりあえずノータッチ。

ちなみにこの時期は、工業については航空機が頑張っているものの全体的に停滞気味、農業は世界的凶作もありやや復活、政府としては自由放任からかなり「大きな政府」に移行していく、という動きです。また注目すべきはサービス産業の成長で、金融や保健・衛生等を含むサービス業のシェア、収支もかなり拡大してきています。中でも特許使用料の国際収支は常に多額の黒字をキープしており、日本との比較が気になるところでした。

なお、昨日は授業の前に時事問題ということで、「ディープスロート」および「ボーイングvsエアバス」について説明。前者はそのまま辞書引くとえらいことになってしまうが、もちろんウォーターゲートのキーマンとしての説明。後者は通商摩擦の話で、これまでの軋轢からWTOに持ち込まれた経緯を説明。最近の話になると、結構意見が出始めて授業後はいくつか素朴な質問を受けました。

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2005年6月 1日 (水)

ロビン・サコダ氏の講演(前国務副長官補佐)

さて、気を取り直して、今日出た会議の内容をアップします。

-日米安保同盟 東アジアにおける挑戦と展望-

講師: ロビン・H・サコダ (アーミテージ・インターナショナル パートナー)

司会: 渡辺恒雄 (読売社長ではない。三井物産戦略研究所 主任研究員)

まず冒頭に、サコダ氏が東アジアにおける将来の不安定要素を幾つか列挙し、また最近における東アジアの動きに対しての見解を述べました。

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彼の挙げた将来(2015-2020年)の東アジアの不安定要素としては、

     途上国がグローバル化の動きにキャッチアップできるか

     グローバル経済が成長し続けるか

     中国の台頭がどうなるか

     エネルギーの需給

     地域全体における高齢化

     地方と中央の格差および政治的安定

     アメリカが超大国でいられるか

というところです。

中でも重点は中国の台頭であり、地域全体に対するポジティブな見通しもあれば、ネガティブな見通しとして地域の不安定要因になったり北京がコントロールできなくなるような結果も考えられるとの事です。そして中国をengageするためには日本だけでも米国だけでも単独では難しく、協力の必要性を説いていました。

更に東アジア共同体についても完走を述べており、最近来日したアーミテージ氏と同様に米国を隔離するような動きには賛成できないという懸念を示していました。この点はQ&Aで詳しく話していたので後述します。

さて、冒頭のプレゼンはあっさり終わってしまったのですが、Q&Aは意外に盛り上がりました。出席者もベテランの専門家が多かったせいもあります。

[在韓米軍の縮小]

まず韓国におけるアメリカ軍の縮小の是非についての質問があり、内容はかなり細かかったのですが、要は駐日米軍にも関係する部署を無くしてしまったために、機能的には疑問が残るとの話でした。ここら辺はトランスフォーメーションとか在韓・在日米軍についての資料を読み込む必要があります。

[東アジア共同体]

次に東アジア共同体におけるアメリカの態度ですが、冒頭で氏が述べたように「アメリカは東アジアにdeep interestがある」と強調しておりました。ただ、アーミテージ氏もそうだったのですが、この理由が曖昧で「排除される」という懸念は言うもののどういう状態を「排除」というのか不明ですし、「ASEAN+3と同じでアジェンダがないじゃないか」と言ってもこれから長期的なビジョンを作っていく集まりという趣旨が強いために批判は余り意味がありません。この辺の曖昧さを、例えば「NAFTAは排他的じゃないか」と突っ込まれると「NAFTAは目的がはっきりしている」という違いを出して、結局は「プロセスが透明でオープンであれば問題ない」という見解を示していました。印象に残ったのは、東アジアにおけるアメリカのdeep interestは確かに強いな、という点とそのdeep interestを現地人とは言え他人および完全には信頼できない中国に任せてしまうことの危うさをかなり懸念してるのだな、という感じがしたことです。今後年末のサミットが近づくにつれて、アメリカ側の意見がどう具体化していくか、注目する必要があります。ちなみに関連で、日本-アメリカのFTAについては、やはり議論として「日本の農業が開放できるのか」という点がアメリカで湧き上がる可能性が大きく、現状は難しいとの見通しでした。

[新アーミテージレポート]

サコダ氏は2000年に発表されたナイ・アーミテージレポートに関わってましたが、最近その第二段に取り組んでいるとのことで少し話しがありました。これまで政権で、まさにレポートの内容に取り組んできたわけで、今回政権を離れたことで一段落してレポートに取り組んでいくようです。現在のところ打合せを一回行っただけですが、年末にかけて発表するとの事でここら辺で今日話したような2020年の将来図なんかも入ってくるかと思います。そういえば岡田代表の外交ビジョンも2015年当たりの将来を想定しているらしいのですが、そこら辺の記述がほとんど無く「ちゃんと分析しているのか」という意見があったのを思い出しました。

[在沖縄米軍の縮小]

この問題はアーミテージ氏もサコダ氏も同様に普天間からの移転を早急にする必要を主張しています。ただ、当初の予定だった辺野古への移転は現状難しく、アメリカ側だけでなく日本側の対処の遅れからSACOの取り決めが止まってしまっています。そこで沖縄側の不満も考慮してサコダ氏は今回も沖縄に出かけたようで、今日出席していた沖縄の国会議員の話にも真剣に聞き入ってました。ただ、その議員が「なぜ沖縄じゃなくてはいけないのか」と質問した際に、アーミテージ氏は同様の質問に「location, location, location」とつまり立地の重要性を説いていたのに対して、サコダ氏は「日本政府に聞く質問ではないのか。我々は受け入れてくれる所ならどこでもwelcomeだよ」といった回答でした。これも本音なのでしょうが、沖縄が海兵隊の訓練地として最適であるとの声も多く聞いたことがあり、改めて沖縄の地理的優位性を再考しなければと感じました。

[北朝鮮の核問題]

まず最近の核実験の可能性に関してはやはりやや楽観的です。理由としても、北朝鮮が核爆弾を1つ以上持っているかどうか、また実験の場合も国連が動きやすくなることから北朝鮮にメリットが少ない点を挙げているのはアーミテージ氏同様です。ただ興味深かったのは「アメリカ-北朝鮮との二国間協議の是非」と「中国の怠慢さに関して」の議論であって、前者は1994年にあったように日本と韓国を差し置いて交渉し、カネだけ出させるようなプロセスは日韓が望んでいないのではないかという見方です。確かに、今回6カ国協議を望んでいるのはアメリカよりは日韓の意向が強いでしょう。また影響力のあるはずの中国が動いていないという議論は確かによくありますが、まず「本当に中国の影響力があるのか」ということを再考しなければいけないし、中国だけを責めるのではなく例えば日本も拉致の問題で核疑惑の議論を拡散させてはいないか、という考えはなるほどと思いました。今後の見通しとしてはやや曖昧で、皆で協力していくといった感じでしょうか。

[中国の軍事力拡大]

最後に、不安定要素の大きな要因の一つである中国の軍事力拡大を具体的にどう見るか、という点ですが防衛関係の人が中国軍のエリア的拡大を話していましたが、集中力も途切れていたせいか、この点回答も良く理解できませんでした。しかしながら!アメリカが中国の軍事力の拡大をどう想定しているかというのはかなり重要な話で、また議会調査局のレポートなんかで調べたいと思います。ちなみ中国の今後の見通しとしては三つ。自分の道を進んでいくのか、協調的になるのか、もしくは破綻してしまうのか。もちろんベストは二番目でワーストは三番目です。これらシナリオをどう良いほうに持っていくか、いつもながらの大きな課題です。

以上、本当に良い刺激になりました。合掌。

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安保面での劣化を痛感!

今日は東京アメリカンセンターで来日中のロビン・サコダ氏の講演会に出席してきました。

内容については別記しますが、ちょっと気づいた点を忘れないようにメモっときます。

まず英語については、サコダ氏がゆっくり話していたせいもあり何とか理解できました。また内容についても質問・回答ともに普通に聞いて理解できるほどでした。特に情報として目新しいことも無かったように思えます。

しかしながら、今日は最近の日米安保における自分の知識の浅さと分析力の低下を痛感してしましました。DCにいた頃は、スピーカーの主張はある程度前もって調査して、その内容について2歩突っ込んだ議論を目標にしていました。ところが、今日はサコダ氏の主張に対して何とか1歩ぐらい深い疑問しか出てこず、参加者たちの1.5歩深い質問と回答を聞くだけで精一杯でした。。

思えば安保問題に関して、ベーシックな所は授業の準備もあって蓄積しつつあるものの最近の動きや各論への分析が全くというほどおろそかになっていました。しかも情報源は日経や日本の雑誌・TVぐらいで、かなり浅い議論で終わってたように思います。また、かなーり素朴な質疑応答に終始する国会や党内の会議を聞いてて「大丈夫かいな」と思いながら、実は自分が劣化してたことにようやく気づきました。

心を入れ替え、常に目標は高く、そしてハングリーにコツコツ頑張ります。イチローも、「小事の積み重ねの大事さ」っての常に言ってますし。

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