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2005年5月

2005年5月31日 (火)

石油価格の決定2

昨日も大学院でのゼミに出席しました。

内容は今回も石油価格の決定メカニズムで、「現在の資源価値から開発コストを引いたものが資源の希少性を量る良い指標となる」ということです。果たしてこの理論がどうなのか、という事を理論式やいくつかの産油地に当てはめながら検証していくのですが、結局は説明ができずに「実際の価格決定は独占的要因がある」という結論に導かれていきます。

数式の理解の乏しさは相変わらずなのですが、徐々に理系的思考にも慣れてきたようで理論のプロセスをなぞるのが興味深くなってきました。この場合ですと、まず仮説を立ててその検証をいくつか行い、仮説が正しくない事を証明してから別の結論を導き出す、と言う流れです。確かに文系の研究でも、通説を疑いそこから検証をして別の結論に持っていくというのは良くあるのですが、検証プロセスが違うように思えます。

それは例えばダイレクトに独占的価格決定の事実を調査するのでなく、まずは数式等を使いながら仮説を潰していく、という手法です。ただ一方これだけですと、新しい結論が証明された事にはならないのでこれをどう正当化していくかという作業が必要です。来週はいよいよこの独占的価格決定-カルテルの事実についての内容なので、結論だけでなくその証明過程が結構楽しみです。

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2005年5月28日 (土)

授業(同盟)

昨日は「同盟」についての続き、「なぜNATOや日米同盟が冷戦後も存続しているか」という点について講義してきました。

その前に、先週末の「対テロ会議」の報告を。説明の中で皆に「テロ戦に参加するか、反対するか」という聞き方をしたら後者が圧倒的でした。やはり、脅威が高まるのに懸念をもっているようです。そこでこちらから「何がテロ戦なのか、テロとは一体何なのか」といった基本的な所が曖昧になっていることを指摘。反応はどうだったんだろうか。現状こちらからは、生徒がノートに書いているかどうか、ぐらいしかほとんど判断基準が無いのが辛いっす。ただ徐々に発言が出てきたことは嬉しいことでした。

その後NATO、日米同盟の存在意義について講義。たとえソ連などの共通の脅威が無くなっていても、実は同盟そのものがシステム化していることを説明。つまり同盟がお互いもしくは地域の安保を維持する制度として定着しているので、無くなった場合の不安定要素を考慮しなければならない。更に相互拘束という点で、お互いを共通のルールで縛ることによってリスクの増大を防ぐという観点も説明。NATOについては米国だけでなく、統一ドイツや(将来的には)ロシアもこのような目的での取り扱いになるでしょう。一方日米同盟については前者的意味合いが強く、東アジア地域の安保にスポっとシステムとして取り込まれている面を説明しました。

最後に、課題として集団安全保障体制としての国連について、いくつかの「素朴な疑問」(以下)を考えてくるよう投げてきました。さて、どの程度の議論が返ってくるか、楽しみです。

[Yes/Noおよびその理由を]

1.         国連は無意味か

2.         米国と国連の関係は今までになく悪い

3.         ブッシュ政権の先制攻撃論は国連では認められていない

4.         国連平和維持活動は失敗である

5.         安全保障理事会は拡大すべき

6.         国連は米国の主権に対する脅威である

7.         国連は巨大な官僚機構である

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2005年5月25日 (水)

FEER誌との面談

今日は午後に経産省で打合せがあった後、以前論文を投稿したFar Eastern Economic Review誌の副編集長と面談し、彼を知り合いの衆議院議員に紹介してきました。

彼は議員とのインタビューでは外交問題についてかなりストレートに質問をしていて、返答にやや曖昧なところがあるとすかさず突っ込むといった感じでとても興味深かったです。彼が特に注目していたのは、「自民党と民主党との違い」や「北朝鮮をどうするか」といったところでした。

議員の答えとしては、まず前者については、優先順位として小泉さんは同盟絶対なのに対し、民主党はアジアを重視し民間を前面に出した外交をするということ。後者に関しては、余り違いはないということです。主張としては確かにそう思います。

ただアジアの中でも中国との関係については、議員は「中国とはライバルだから今後何十年もお互い言い合うのでは」という見解でした。しかしながら「アジアとの関係を重視するなら日中関係を改善する必要があるのでは」と副編集長がさらに突っ込むと、インドやロシアといった中国の外からの関係を構築していって包囲網を作っていくといった回答をもらいました。また対中関係について、副編集長から「ODAをツールとして活用しないのか」という素朴な質問があったのですが、議員からは「もっと必要な所に使うべきでは」という回答でやや納得できていないような感じでした。

もう一つ、対北朝鮮政策の件については「自民と民主の違いはほとんどない」と明言されてました。実際拉致も経済制裁も超党派でのチームで活動していたりします。興味深かったのは拉致に関する国民の意識がかなり低下しているという話でした。昨年のある時期に開催した拉致対策の大会では5000人も集まったのが、一年後にはようやく2000人だったようです。確かに国内のメディアの取り扱いも、最近はほとんど北朝鮮の核実験の是非についてになってきました。

その後、副編集長と私の二人で日本の外交戦略や党毎の違いについて話をしたところ、日本の外から見ていると理解できない事が多いんだなと改めて感じました。ちなみに民主党の外交ビジョン等についても興味深く聞いてもらっていたのですが、「これが実際どう実行に移されるんだ?」という質問には「法律案でもなく大きなビジョンなので政権を取るしかない」と答えると「やっぱそうか。」と頷いてました。外から見てそんな実行の可能性も確実でない方針を誰が関心を持ってくれるの、と私も自問してしまいました。

明日も朝から一緒なので、また面白い議論ができるかと思います。

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2005年5月24日 (火)

石油価格の決定

昨日は朝国会に寄った後、午後は大学院でエネルギー関連のゼミに出席。

トピックは「石油開発への投資」という点について経済学的な見地から分析したもの。新聞とかで言われるような、価格だけに焦点を絞って「製油所が足りない」とか「投機資金が増えている」と言った原因を分析するのでなくて、もうちょい一般的な理由についての論文を題材に皆で議論しました。

石油価値の決定は、「確認埋蔵量」の大きさつまり希少性によるところが大きく、それから開発コストを引いて資源使用料として決定される。難しいのはこの埋蔵量が一定でなく、これまで何度も増加してきたことで、実際1973年までは中東を初めとした発見ブームによって価格は実質上低下しました。つまりインフレの影響を考慮しても価格は結局一定に保たれていたのです。

そしてこの埋蔵量の不確実性のために発見・開発コストも予測が難しいという面もあります。それには油田の年齢や原油の質にも左右され、更に税金等も考慮に入れた上で将来割引率から現在価値を決定するといったプロセスで初めて何十年にも渡る投資が行われるようです。

といった事が大まかな内容だと思うのですが、とにかく論文自体がひじょーに読みにくいのには参りした。数式なんかが理解できないのは自分のせいとしても、全体の流れとか結論も余りはっきししないし、それぞれの文章が一読では理解できません。おかげで、ゼミの議論も一行一行をなぞっていくような感じで全体像が掴めずに終わってしまいます。経済とか理系の論文はこんなものとすればそれまでだけど、こんな複雑な文章ばっか読んでいるから勉強している方も説明が下手になってしまうのでは、と嫌な因果関係を考えてしまいました。そう考えると、留学中に読んだクルーグマンは本当に分かりやすいし面白かった。

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2005年5月22日 (日)

政策空間勉強会(テロ対策)

アメリカでの友人、片桐範之くん(写真中央)との政策空間の勉強会に行ってきました。

DVC00020彼は現在ペンシルベニア大学政治学部の博士候補で、バリバリ安保を勉強しています。彼が今日で紹介してくれたように、ワシントンに居たころはお互い貧困を極めておりプライベートでは余り良い記憶はなかった。。たまーに外食とかしても、割り勘になると「どっちが多く食べたか」で揉めるというような事も、まぁいい思い出です。

冒頭片桐君から「テロリズムと日本の安全保障政策」について、政策空間での記事を基に発表。発表中もちょくちょく質問が出て、それに答える形で進めていくとあっという間に1時間半ぐらいたってしまった。そこでようやく僕の出番。ディスカッタントとしては既にある程度Q&Aが終わった後では大変やりにくいのだが、ポイントを絞るようにして彼の主張を構造的に分析しながらいくつかの点を提起しました。

まず、全体の流れとして「テロの概念(定義、原因、効果、対処)」→「日本の対テロ政策」となっているところを、それぞれ前後半およびその導き方について補足しました。概念から結局、「テロへの対処が難しい→日本は自国の脅威でもない対テロ戦に加わらず国内防衛に注力すべき」との論調なので、①難しいが現実的な対処の仕方はいくつかある、②「対テロ戦」とはこの場合何を指すのか、③海外派遣の際の行動基準として日本はテロだけでない「二重のリスク構造のなかでコストandベネフィットを計算しなければならないし、これだけ相互依存が高まった中で日本の理念でもある国際協力という選択肢を無視できない」といった所を説明しました。

大体思っていたポイントは述べたのだけど、かなり時間もなかったので二点だけ大事な表現を抜かしてしまったのは残念でした。

一点目は、彼の主張の結論の中での「テロ」が狭義の「対米および対欧米に対してのテロ」という前提になっていること。それでは、日本にとってのテロは何かという突っ込んだ議論がやや抜けてしまっている。もう一点は、対テロ戦に加わる=自分への脅威が高まるという主張について、「対テロ戦」という定義は軍事的なものだけを指すのか、非軍事的なものは問題ないのか、といった点も議論の余地があるなという点です。例えば以前ペルーでMRTAというテロ集団によって大使公邸占拠という事件があったが、そのメンバーのインタビューの中で彼らの動機はペルーの当時のフジモリ政権と日本との結びつきを挙げていた。つまり非軍事面であろうと「巻き込まれる恐怖」は残ってしまう。

今回はバタバタなスケジュールの中で、ディスカッタントとして片桐くんの主張をベースにしながら自分も色々考えてみた。とても良い機会だったので、今度じっくりと自分なりの主張を組み上げていこうと思います。僕の安保の考えの基礎であり出だしは防衛庁への論文ですが、読み直すとまだまだ甘いなという所が出てきたこともありますし状況も変わっていることから引き続き精進していきます。休日の雨の中、参加頂いた30人余りの方々に大変感謝します。

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2005年5月20日 (金)

授業(アメリカ経済の生い立ち)

今日は暑いせいか、途中から明らかにバテてきました。

やや意図的にテンションを挙げながら話しているのだが、それももたず最後はレジュメをなぞるような感じに。。

課題の論文のまとめを発表してもらっても、「全然説明できないです。」と生徒はかなり弱気。「文章の初めのほうにポイントがあるから」と教えてあげると、文章を頑張って訳してくれるのはいいのだが「著書の経歴」も訳してくれ始めたので交代。さすがに大変だったか。。確かにForeign Affairsなんて自分も初めて読んだのは社会人を通り越して院生になった時だし。

とにかく、舌も回らなくなりながら完走しました。講義の流れとしては、以下となります。

前回の続きから、「経常赤字、対外債務はリスクじゃない」という論文を説明(趣旨は以下)

  1. 1790年ぐらいからの農業の発達経緯同上
  2. 人口の推移
  3. 奴隷制
  4. フロンティア運動の影響
  5. 繊維工業の発達
  6. 他産業への波及
  7. 経済発展と政府の役割(小さい政府)

    Foreign Affairsの論文ですが、なぜ「経常赤字、対外債務はリスクじゃない」かというと、理由は以下の三つを主張してます。

    1.技術開発・運用をリード – 魅力的な投資先

        (強固な経済基盤を示している)

    2.世界通貨としてのドル – 為替リスク低い

        (ヨーロッパ、日本より安定した・強い成長経済)

    3.国内貯蓄は実際もっとある

        (キャピタルゲイン、401k、家屋資産、将来投資など)

        (海外投資引き上げの際にも十分ヘッジ)

    それより保護主義と孤立主義におちいる方がリスク!

    為替は短期的には安定化のために金利を上げねばとも思うし、国内貯蓄(広義)によるヘッジも短期的なリスクはあると思うが、理論としてはなるほどと思う。

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今週もバタバタと

毎週木曜の夜は授業の予習で遅くなります。

やはり人に教えるには読み込むだけでなくて、流れをしっかり作って理解し易くしないと。

経済の授業では、今回生徒にForeign Affairsの記事(The Overstretch Myth)を読むよう指示したので自分も読んでみるのですが、、、学部の学生には難しすぎるか。内容はアメリカの経常赤字と海外への借金体質を肯定的に分析しているもので、用語も含め経済の基礎知識のない人には大変そうです。うーむ。果たして説明も通じるか、最悪は自分でも訳分からなくなることだな、と心配しつつ寝ときます。

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2005年5月14日 (土)

授業(同盟)

今日はもう一発、安保の授業も。内容は「同盟」について。

とりあえず概念の説明だったが実際の例も出しながら説明。しかしこういう観点から日米安保を見ると実に分かりやすい。小国のジレンマとか、そのまま政治やマスコミの議論で見られるし。

ただ学生の皆にはややイメージ掴みにくいかも。実ここら辺は戦略論として広く日常にも使えそうなんで、そんな感じで身近にしていこうと思ってます。実際孫子の「兵法」とかは良くビジネスに応用されている。例えば会社での人間関係に置き換えるとか。自分だけでは対抗できない部長に、副部長や課長なんかとどんな同盟組んで対抗するとか。

だがそれさえも学生には掴みにくいか。普通の学生は教師-学生の力関係ぐらいしか身の回りになさそうだし。そう考えると大学生の時は縦の人間関係って薄い。体育会とかならまだ何とかあるが、サークルとかはぼんやりしてる。まずは社会がどうかってのを見せるのが先みたいです。

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2005年5月13日 (金)

授業(アメリカの位置付け)

今日も大学で授業を教えてきました。早三回目です。

経済系の授業では「アメリカの世界経済における位置付け」を講義。

国際機関での地位や各地域への経済政策を説明してきました。実は既にやや予定を遅れ気味。。それでも生徒からは「進行が早い」との声。皆ノート取るのに必死なよう。ちょい楽にしてやりたいが、こちらも全てを一人でやっているため手が回っていない。。ま、考えてみるが、本来は授業だけで理解しようと思っちゃいけない。今や調べれば何でも出てくるんだから。

と、いいつつ自分の大学生時代と比べるとみんな実に真面目だなぁ、と感心してます。準備とか思ったより数倍きついですが、何とか皆の誠意に応え続けます。

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2005年5月11日 (水)

新規開店

旧Nari-netに続き、本日よりNari-blogを開きました。(と思ったんですが、他にもいたようなので政-blogにしました。)

これから現在携わっている国内外の政治経済やエネルギー関係について雑感をストックしていきます!

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